著者
宮部 雅幸
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.1180-1182, 2013-12-01

三重大学麻酔科医の大量退職に伴い, 2004年に麻酔管理と臨床実習に業務を特化した臨床麻酔部が作られた。その後, 2009年秋に大学の講座となり,筆者が新教授として選出された。赴任時は,外科医や外勤麻酔科医が麻酔を担当していたが,4年が経過し,全身麻酔および,区域麻酔のすべてを臨床麻酔部が担当している。2012年度の手術件数は5743件で,麻酔部管理は4200件程度であった。これを,筆者を含め8人の麻酔科医(後期研修医も含む),3~4人の初期研修医,2人の専属麻酔支援看護師で担当している。 このマンパワーで,臨床麻酔部は臨床実習に関しても,学生から高い評価を得ている。2012年度の5年生からは,調査項目すべてにわたって高得点が得られ(図1),診療科別総合評価で麻酔科が第1位であった。 本稿では,筆者がどのように学生教育に携わっているかを述べる。
著者
佐藤 紀 宮部 雅幸 川真田 樹人 中江 裕里 表 圭一 並木 昭義
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.15, no.9, pp.616-619, 1995-11-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
6

咽喉頭全摘出術患者10名にリドカインを用いて頸部硬膜外麻酔を施行し,反復投与による血漿リドカイン濃度の推移を検討した.笑気酸素-セボフルランを用いた全身麻酔下で,初回に20万倍エピネフリン添加2%リドカイン3mg/kgを投与し,1時間後より1時間ごとに20万倍エピネフリン添加1.5%リドカインを循環動態に応じて1~2mg/kg追加投与した.初回投与後,血漿リドカイン濃度は15分でピークに達し,追加投与直前の1時間後に最低となった.初回投与3.5時間後に2.6±0.6 (SD) μg/mlに達した後は,およそこの血漿中濃度で安定した.長時間にわたる頸部手術における頸部硬膜外麻酔併用全身麻酔では,安全なリドカイン血漿濃度を維持できることが示された.
著者
星 拓男 須賀 明彦 熊谷 恵 宮部 雅幸 佐藤 重仁
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.16, no.7, pp.609-612, 1996-09-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
8

患者は24歳女性.誤って漂白剤を浴び,アルカリ腐食性角膜潰瘍のため入院した.入院後,角膜穿孔と角膜移植を繰り返し,合計7回の角膜移植を受けた.この間痛みは,角膜の状態悪化とともに増悪し,ブプレノルフィンの筋注を最高1日6回まで必要とした.しかし薬物血中濃度から内服が守られていないことがわかり,痛みを訴える一方で,安静を守らないなど不審な点も多く,心理的要因を疑い精神科を受診したところ虚偽性障害が疑われた.薬物療法,面接,行動療法を行なったところ,それまでの痛みはブプレノルフィンを筋注して欲しいための嘘であったことがわかった.慢性痛を訴える患者では,チーム医療および精神科的アプローチの重要性を痛感した.
著者
中江 裕里 高橋 俊彦 宮部 雅幸 並木 昭義
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.189-192, 1993-03-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
15

軽度の耳下腺腫脹と著明な血清アミラーゼ値の上昇により術後耳下腺炎と診断された症例を経験した.耳下腺の腫脹は手術後1日目から6日間持続したが,炎症症状を欠き,局部の冷却湿布と通常の上腹部手術術後管理に準じた抗生剤および輸液管理により軽快した.耳下腺腫脹の原因としては手術中のバツキングによる腹圧上昇,気管内チューブによる咽頭反射の亢進による唾液腺の静脈うっ血に起因する耳下腺管の閉塞が考えられた.術後耳下腺炎はまれな合併症であるが,日常の麻酔管理における操作が原因となりうることを常に銘記すべきと思われた.