著者
掛川 武 長瀬 敏郎 中沢 弘基 関根 利守 長瀬 敏郎 中沢 弘基 関根 利守
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、初期地球の海洋に隕石が衝突し、そこでアミノ酸が生成され、そのアミノ酸が地球内部で重合し、やがて生命に進化したことを実験的に検証する課題である。隕石の海への落下実験に成功し、世界で初めて衝撃環境でのアミノ酸生成に成功した。地殻内部での高温高圧条件でアミノ酸重合にも世界で初めて成功し、タンパク質前駆体のペプチドを生成した。
著者
古川 善博 関根 利守 大庭 雅寛 掛川 武 中沢 弘基
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.226-237, 2009-12-25
被引用文献数
1

生命の構成物質である,アミノ酸や核酸塩基,糖などの生物有機分子が生命誕生前の地球にどのように誕生したのかということは,生命起源解明の根幹を成す課題である.本稿では初期地球における隕石の海洋衝突による生物有機分子の生成について解説する.地球外物質の初期海洋への重爆撃は,後期重爆撃と呼ばれる38-40億年前に起きたと考えられている.著者らはこの現象を実験室で再現し,鉄,ニッケル,アモルファス炭素,水,窒素から有機物が生成するかどうかを明らかにするための衝突回収実験を行った.実験の結果,多種のカルボン酸,アミンおよびグリシンが生成することが明らかになった.この結果と衝突実験条件および有機物生成過程から隕石の後期重爆撃による生物有機分子の生成という,生命起源物質の新たな生成過程を示唆することとなった.