著者
勝見 康平 伊藤 誠 岩田 章裕 鈴村 裕 片岡 洋望 竹島 彰彦 池戸 昌秋 坂 義満 伊藤 龍雄 岸本 明比古 加藤 實 中沢 貴宏 武内 俊彦
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.457-462, 1993-03-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
20

消化性潰瘍の発生に季節性があるか否かをあきらかにするため,内視鏡的にA1あるいはA2ステージの活動期で発見された胃潰瘍601例,十二指腸潰瘍289例を対象に各月ごとの潰瘍発生数を検討した.1年を連続する3カ月ごとの4群に分けて潰瘍の発生数をみると,胃潰瘍は3~5月群が171例でもっとも多く,以後6~8月群164例,9~11月群139例と漸減して12~2月群は127例ともっとも少ない発生であった(P<0.05).一方,十二指腸潰瘍の発生は1~3月群63例,4~6月群68例,7~9月群61例に対し,10~12月群は97例であきらかに高値を示した(P<0.05).以上の成績より,名古屋地区では消化性潰瘍の発生に季節性がみられ,胃潰瘍は春に,十二指腸潰瘍は秋から初冬にかけて好発することがあきらかとなった.
著者
中沢 貴宏 大原 弘隆 城 卓志
出版者
日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.569-578, 2010 (Released:2011-01-07)
参考文献数
30
被引用文献数
4

要旨:IgG4関連硬化性胆管炎は原発性硬化性胆管炎や胆管癌との鑑別が必要である.自己免疫性膵炎の合併の有無,血清IgG4値,全身合併症を参考に,胆管像,管腔内超音波像で診断することが重要である.胆管の生検診断は胆管癌の除外に有用である.膵病変が明らかでなく,硬化性胆管炎のみを認める症例は診断に難渋する.治療は自己免疫性膵炎と同様にステロイドの投与で軽快するが,再燃を繰り返す症例やステロイドに反応が悪い症例に対して海外では免疫抑制剤の併用も行われている.予後はおおむね良好であるが,肝萎縮をきたす症例も報告されている.