著者
江浜 律子 岩渕 徳郎 飯野 雅人 中沢 陽介 出田 立郎 辻 善春 大浦 一 荒瀬 誠治 岸本 治郎
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.35-40, 2011-03-20 (Released:2013-03-18)
参考文献数
8

最も一般的な女性の薄毛は “female pattern hair loss (FPHL)” に分類され,男性ホルモン依存性脱毛 (androgenetic alopecia : AGA) とは異なる特徴を示す。AGAでは頭頂部や前頭部が顕著に薄毛化するのに対し,FPHLではより広範囲にわたってびまん性に毛髪密度が低下し,髪の生え際の後退は認められない。アデノシンは細った毛髪を太く成長させることにより太い毛の割合 (太毛率) を高めて男性におけるAGAを改善することが示されている。本研究では女性の薄毛改善に対するアデノシンの有効性を検討した。薄毛女性を対象とした12カ月間連用試験の結果,アデノシン配合ローション使用群ではプラセボ群に比較して太毛率が有意に高くなった。さらにアデノシンに加えてパナックスジンセンも配合したローションの6カ月連用試験の結果,連用前後の比較で毛髪密度の増加が認められた。いずれの試験においても副作用は観察されなかった。以上の結果より,アデノシンは男性のみならず女性のQOL (quality of life) をも改善する安全で効果的な育毛剤として有益であることが示された。
著者
中沢 陽介 馬 信貞 李 蕾 塚越 徳子 大坪 充恵 天野 聡 舛田 勇二 中山 泰一
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.197-200, 2009-09-20 (Released:2011-12-09)
参考文献数
6

中国人女性の多くは目まわりの美容意識が高く,目袋の目立ちに悩んでいる。本研究では,中国人女性における目袋の実態および目袋の皮膚生理学的な特徴を明らかにすることを目的とした。目袋に悩む中国人女性を対象とし,目の下のたるみ,くま,しわなどの程度を視感評価した。さらに,画像解析によるヘモグロビン量とメラニン量の定量およびCutometerによる皮膚粘弾性の計測を行った。視感判定での目袋の目立ちは,下瞼のたるみや硬さとの相関がみられた。ヘモグロビン量は頬部よりも目の下で多く,目袋部位がうっ血している可能性が示された。くま部位では頬部と比較してメラニン量が高値を示した。皮膚粘弾性は目の下で低く,皮膚のハリが失われている可能性が示された。以上の結果から,中国人女性における目袋の悩みは,目の下の皮膚が形態学的に弛む現象に加え,うっ血や色素沈着などが影響している可能性が示された。
著者
中沢 陽介 佐藤 敬 佐藤 征嗣 相馬 勤 出田 立郎 石井 良典 新山 史朗 坪井 良治 岸本 治郎
出版者
一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.91-99, 2016 (Released:2016-02-05)
参考文献数
17

再生医療の実用化に向けては, 新たな法律を制定するなど, 国をあげての支援策によりその動きが加速している. 毛髪の再生に関しても, ヒト組織・細胞を利用した基礎研究の成果に基づいた, 脱毛症の自家移植による細胞治療に関する臨床研究が検討されている. 毛球部毛根鞘細胞 (DSCC) は毛包組織のなかで間葉系の細胞であり, 毛包誘導能を有すると考えられている. DSCCを用いた自家培養細胞移植による脱毛治療の臨床研究に関する最新の動向, および臨床応用に向けた, 再生医療関係の法整備や臨床試験に供する細胞を提供する細胞加工施設 (CPC) の要件について概説する.