著者
塚越 徳子 櫻井 美緒 瀬沼 麻衣子 京田 亜由美 二渡 玉江
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.49-57, 2022-02-01 (Released:2022-03-18)
参考文献数
25

目 的:救急・集中治療領域において家族にエンドオブライフ・ケアを行う看護師の困難に対する対処を明らかにする.方 法:救急外来および集中治療室の看護師15名にインタビューガイドを用いた半構造化面接調査を行った.面接調査は,質的記述的研究手法を参考に分析した.結 果:困難の対処として,【困難の解決に向けた模索】【巻き込まれる自分の感情を守るための方策】【エンドオブライフ・ケアに対する意欲の高まり】が生成された.考 察:救急・集中治療領域看護師は,家族の悲痛な感情に看護師自身が巻き込まれすぎないように一定の距離を保ちながら,家族の反応や心情を探っていた.困難の対処には,同僚の存在が重要であり,部署全体やチームなどの組織的なエンドオブライフ・ケアへの取り組みの必要性が示唆された.看護師自身の気持ちや経験を語る場の設定や,家族に対するエンドオブライフ・ケアの動機付けを高める教育を行うことが重要である.
著者
牛久保 美津子 近藤 浩子 塚越 徳子 菊地 沙織 上山 真美 恩幣 宏美 堀越 政孝 常盤 洋子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.67-72, 2017-06-20 (Released:2017-06-21)
参考文献数
10
被引用文献数
3

目的:病院看護職による退院後の暮らしを見据えた看護活動の自己評価の結果をもとに,在宅ケアの視点をもつ病院看護職育成のための課題を明確化すること.方法:9病院,13名の看護師を対象にしたグループインタビューを行い,質的帰納的に分析した.結果・考察:退院後の暮らしを見据えた看護活動の現状として,6カテゴリ:《他職種にまかせきりにしている》,《院内連携ができていない》,《訪問看護師との連携には格差がある》,《社会資源の知識がなく活用ができていない》,《勉強会参加,経験年数,興味関心により在宅ケアの視点をもつことができる》,《在宅ケアの知識があっても実践力がない》が抽出された.社会資源に関する知識不足や多職種連携ができてないことから,実践に結び付いていないことが考えられた.結論:退院後の暮らしを見据えた看護職育成の課題として,社会資源に関する実践的な知識不足を補うこと,かつ他分野他部署を超えた看護経験の積み重ねができるような勤務体制・施設間交流の工夫を行うなど,会得した知識を実践へと結び付けるための個人の資質向上と組織的な教育的取り組みが必要であることが示唆された.
著者
塚越 徳子 角田 明美 渡辺 恵 京田 亜由美 瀬沼 麻衣子 近藤 由香 北田 陽子 廣河原 陽子 一場 慶 金子 結花 関根 宏美 宮澤 純江 橋本 智美
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.95-103, 2023 (Released:2023-04-06)
参考文献数
34

【目的】群馬大学医学部附属病院のがん看護外来における相談内容に関連する要因を明らかにする.【方法】2019年度の相談1308件から欠損値を除く1084件を対象に後ろ向きに調査した.調査項目は年代,性別,相談者,利用回数,がんの治療状況,相談内容などとした.相談内容と利用者の属性とのχ2検定,二項ロジスティック回帰分析を実施した.【結果】治療に関する内容は,70歳代以上,家族・親族のみ,再発・転移あり,初めての利用,治療前,泌尿器,子宮・卵巣,原発不明と関連した.身体的な内容は,治療中,治療後,再発・転移なし,消化器と関連した.心理的な内容は,30歳代以下,40~60歳代,患者のみ,2回目以上の利用と関連した.社会的な内容は,患者のみ,家族・親族のみ,再発・転移なし,乳房と関連した.【結論】相談内容によって関連要因は異なり,関連要因に応じて相談の準備を整えることに活用することができる.
著者
近藤 由香 京田 亜由美 塚越 徳子 瀬沼 麻衣子 二渡 玉江
出版者
国立大学法人 群馬大学大学院保健学研究科
雑誌
群馬保健学研究 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.1-10, 2022 (Released:2022-04-01)
参考文献数
34

本研究の目的はがん患者自身が抱える親に対する悩み事について文献検討より明らかにすることである。医学中央雑誌を用いて,「がん」「がん患者」「悩み」「思い」「家族への思い」「苦痛」「負担」「親」のキーワードで検索を行った。がん患者自身が抱える親に対する悩み事については,内容分析の手法を用いて,サブカテゴリ,カテゴリへと抽象化した。 分析対象文献は16件であった。がん患者自身が抱える親に対する悩み事は,60コード,19サブカテゴリ,【親に自身の心身のサポートを担わせる悩み】【親に余計な負担をかけないための苦慮】【親の介護や健康への心配】【親に病気のことを伝えなければならない重荷】【子としての役割が果たせない申し訳なさ】の5カテゴリが形成された。がん患者は,親に自身の心身のサポートを担わせる悩みを抱いているが,子どもとして親に甘えたい気持ちと,子どもとして親を支えないといけない気持ちの両側面があることが示唆された。看護師は他職種と連携して,患者が求める社会資源を活用できるよう支援していくことが必要である。
著者
中沢 陽介 馬 信貞 李 蕾 塚越 徳子 大坪 充恵 天野 聡 舛田 勇二 中山 泰一
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.197-200, 2009-09-20 (Released:2011-12-09)
参考文献数
6

中国人女性の多くは目まわりの美容意識が高く,目袋の目立ちに悩んでいる。本研究では,中国人女性における目袋の実態および目袋の皮膚生理学的な特徴を明らかにすることを目的とした。目袋に悩む中国人女性を対象とし,目の下のたるみ,くま,しわなどの程度を視感評価した。さらに,画像解析によるヘモグロビン量とメラニン量の定量およびCutometerによる皮膚粘弾性の計測を行った。視感判定での目袋の目立ちは,下瞼のたるみや硬さとの相関がみられた。ヘモグロビン量は頬部よりも目の下で多く,目袋部位がうっ血している可能性が示された。くま部位では頬部と比較してメラニン量が高値を示した。皮膚粘弾性は目の下で低く,皮膚のハリが失われている可能性が示された。以上の結果から,中国人女性における目袋の悩みは,目の下の皮膚が形態学的に弛む現象に加え,うっ血や色素沈着などが影響している可能性が示された。