著者
セリック ケナン 麻生 玲子 中澤 光平
出版者
言語記述研究会
雑誌
言語記述論集 = JOURNAL OF KIJUTSUKEN(Descriptive Linguistics Study Group) (ISSN:2432244X)
巻号頁・発行日
no.13, pp.139-177, 2021-04-30

本稿では、明治期の八重山語(石垣島方言)の語彙資料の手書き原稿の翻刻を提示する。『海南諸島單語篇』(副題『沖縄懸下八重山島單語』)と題する本資料は植物学者の田代安定が1880年代に実施した実地調査に基づいて作成したもので、現在、東京大学理学図書館で保管されている。この資料は収録語数が800語を超えており、また、表記が八重山語の重要な音韻的対立を反映している。このように、八重山語の纏まった正確な語彙資料として最古のものであると考えられる。このため、八重山語の研究および研究史にとって極めて重要な価値がある。
著者
中澤 光平
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2018-08-24

本研究の目的は、日本語の方言のうち、淡路方言が歴史的にどの方言と近い関係にあるかを明らかにすることと、西日本方言に分類される近畿方言、中国方言、四国方言それぞれの範囲を確定することである。淡路方言はこれまで近畿方言に分類されてきたが、兵庫県や和歌山県の諸方言とともに、京都や大阪などの近畿中央部の方言よりも、むしろ中国地方や四国地方の諸方言と歴史的に近い可能性が高くなった。そのため本研究では、歴史的な観点から方言の範囲を整理し直し、淡路方言と他の方言の歴史的な関係を明らかにするのに必要なデータを収集するため、近畿、中国、四国各地で、伝統的な方言の特徴を保持する高齢者へ調査を実施する。