著者
中矢 哲郎 樽屋 啓之 浪平 篤 中田 達 中 達雄
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会誌 (ISSN:18822770)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.855-858,a2, 2016 (Released:2021-01-14)
参考文献数
3

ポンプ灌漑地区において,施設の管理状況や電力使用状況を現地の聞取り調査や運用調査より明らかにした。その上で用水の有効利用や,節電を実現可能なポンプ直送式の配水システムの技術的問題を提示した。さらにプラントやインフラ施設の監視制御における最新の情報通信技術のうち,低コストでありかつ汎用機器との通信性に優れるSCADAを導入した,末端給水栓と用水機場の管理の連携を簡易にかつ拡張性高く構築できる灌漑配水の監視制御システムを提案した。本システムをポンプ灌漑地区の水理実験模型に実装し,システム構築の簡便性や制御運転のリアルタイムでの運用性を把握し,現地適用の有効性を報告した。
著者
森 充広 森 丈久 渡嘉敷 勝 中矢 哲郎 藤原 鉄朗 齋藤 豊
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.87-95, 2012

上水道,工業用水などと共用されている農業用水路トンネルは,ライフラインとしての社会的重要度も高く,優先的に機能診断を行うべき施設であるにもかかわらず,断水が困難であり,機能診断に苦慮している.そこで,通水状態での農業用水路トンネルの機能診断を簡易的に実施することを目的として,流水中に高感度CCDカメラを搭載した装置を放流し,覆工に発生しているひび割れ等の変状を記録する一次診断が可能な調査システムを開発した.本システムの特徴は,高感度CCDカメラが常にトンネルの壁面に正対しつづける壁面自動追尾機能を導入したことである.実証試験によって本システムの性能を確認した結果,幅1.5mm以上のひび割れ,遊離石灰,漏水状況などを検出することができ,通水状態での一次診断として有効であることを確認した.
著者
桐 博英 丹治 肇 中矢 哲郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.241-245, 2004
被引用文献数
1

地球温暖化に伴う沿岸域への影響には海面上昇が知られているが, 台風の規模も大きくなることがわかってきた. しかし, 台風規模の変化が高潮に伴う潮位偏差にどの程度影響を及ぼすのかは, 明らかになっていない. そこで, 台風が多く通過する有明海を対象に, 2つのモデル台風を作成し, 台風規模が15%大きくなった場合の潮位偏差の変化を数値解析により検証した. その結果, 有明海内部では, 20-55cmの潮位偏差の増大が予測され, 地球温暖化による沿岸域の保全対策には台風の規模の変化も考慮する必要があることを明らかにした. また, 有明海を北上する台風では, 台風接近時の潮位降下が台風通過時の潮位上昇を抑える効果があることを示した.