- 著者
-
中谷 知生
- 出版者
- 日本義肢装具学会
- 雑誌
- 日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.3, pp.210-215, 2022-07-01 (Released:2023-07-15)
- 参考文献数
- 33
脳卒中患者の歩行再建を目的とした運動療法では,課題特異的トレーニングのエビデンスに依拠するかたちで長下肢装具・短下肢装具を用いた歩行トレーニングが行われてきた.下肢装具を用いた運動療法のエビデンスは蓄積が進みつつあるが,使用開始時期や装着による身体機能の改善効果に関する報告は少なく,臨床場面では目的が不明瞭なまま使用されることも少なくない.近年ではロボティクス,あるいは非侵襲的中枢神経刺激など,新しい技術と併用する機会も増えており,下肢装具を用いた運動療法は神経科学的な観点からの治療効果も期待されている.今後はより客観的な評価を行い,明確な治療戦略に基づき使用する必要がある.