著者
向 文緒 ムカイ フミオ Mukai Fumio 中川 与四郎 ナカガワ ヨシロウ Nakagawa Yoshiro 原 健男 ハラ タケオ Hara Takeo 伊藤 玲子 イトウ レイコ Ito Reiko 中路 純子 ナカジ ジュンコ Nakaji Junko 杉村 公也 スギムラ キミヤ Sugimura Kimiya
出版者
中部大学生命健康科学研究所
雑誌
生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.40-47, 2011-03

大学内の社会資源を活用して、地域の社会資源と在宅精神障害者を結びつけ、在宅精神障害者の就労を促進する支援モデルを開発することを企図して大学内の社会資源を利用した実地訓練を含む「中部大学在宅精神障害者のための就労準備講座」を実施しその有効性を検討する予備的研究を行った。受講前後の受講生の認知機能と、心理社会機能、職業準備性を測定し、その差の検討を行い、参加状況による受講生の特性、各検査結果、終了時の受講生の振り返り内容を比較検討した。その結果、本講座が「注意の集中・維持機能」や「社会適応度」、「就労準備性の達成度と自信」の促進に良い影響を与える可能性があることが示唆された。他方、就労準備性を行動変容という視点から見たときには「支援を求め受ける力」、「働く場でのルール・態度」、「仕事に必要な作業遂行力」の促進のための課題があることが示唆された。また、参加状況による比較から、既存の就労継続支援B 型で適応している者にとって本講座は病状悪化を誘発する危険性を孕むものであること、既存の支援に適応しない群の中に本講座に適応する者がいること、病状類型と 「支援-増悪」 に関連があることが示唆された。
著者
中路 純子 ナカジ ジュンコ Nakaji Junko 沖 高司 オキ タカシ Oki Takashi 粥川 早苗 カユカワ サナエ Kayukawa Sanae 宮本 靖義 ミヤモト ヤスノリ Miyamoto Yasunori 伊藤 玲子 イトウ レイコ Ito Reiko 井戸 尚則 イド ナオノリ Ido Naonori
出版者
中部大学生命健康科学研究所
雑誌
生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.68-75, 2012-03

小児期より比較的重度の身体障害がある在宅障害児・者に対する支援を具体化し、地域での生活を豊かにすることを研究目的とした調査の結果、リハビリテーション関係者による専門的な指導の不足が課題の一つであること明らかになった。本人・家族の幸福感や満足感を伴ったリハビリテーション関係者による支援とは、どのような要件が求められているのかを明らかにする事を目的とし、3組の家族の協力を得て現状評価を行い、若干の介入を開始した。結果、3症例ともに本人・家族が改善を希望している項目はICFによる「活動」の領域であり、「心身機能」との因果関係が深いことが分かった。しかし実際の介入は、心身機能に深く介入を必要とする者、生活環境を変化させ、好ましい日常活動の継続によって改善の期待が出来る者、適切な福祉機器やヘルパーの導入が必要と思われる者と、異なる対応が求められた。そして、3家族ともに温度差はあるものの、家庭への介入に対する抵抗感があり、育ててきたプロセスを否定されることへの恐れを感じとることが出来た。リハビリテーション関係者の専門的な評価と介入は、対象家族の生活スタイルを尊重する事から始まる。小児期から障害のある在宅障害者への介入は、それまでの経過をよく聞き取り、家族の思いに耳を傾けねばいけない。時間をかけて互いに協力関係を結びつつ、方向性を見定める態度が重要である。それらの事を前提条件として、専門家による適切な評価と介入が求められるのである。対象家族の人生を肯定し、共感し、専門的知識を持って具体的に生活環境への介入・支援を行うことが、リハビリテーション関係者に求められる支援の要件であることが分かった。
著者
中路 純子 ナカジ ジュンコ Nakaji Junko 沖 高司 オキ タカシ Oki Takashi 宮本 靖義 ミヤモト ヤスノリ Miyamoto Yasunori 伊藤 玲子 イトウ レイコ Ito Reiko 粥川 早苗 カユカワ サナエ Kayukawa Sanae
出版者
中部大学生命健康科学研究所
雑誌
生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.46-53, 2013-03

本稿では、2011年度に実施した評価に基づいて立案した介入プログラムを提示し、了承を得られた2家族に対して行った介入過程と結果に考察を加えて報告をする。症例Aは、複数のサービスを利用する生活スタイルであったが、機能的側面の評価に基づいた支援が生活の場に入っていなかった。理学療法士(以下PT)による身体機能の維持改善のプログラムの実施と並行して、作業療法士(以下OT)の評価に基づき、1 日常の座位姿勢管理のための車椅子用座位保持シートの作成 2 トイレ使用時の本人と介助者双方の負担軽減のためのトイレチェアの改良 3 食事介助の方法の統一による機能の維持・改善を提案・実施をした。症例Bは一日を自宅で過ごす生活スタイルであり、訪問PTを受けていたが、生活場面への評価・支援が入らず、OTによる生活の質への支援を必要としていた。日常生活の中で母親と楽しみながら行える活動・体操の紹介と、転倒防止のための具体的な工夫を提供した。2家族との関わりの中で、生活場面への介入は家族に負担感を与えることもあるが、ニードに沿った効果的な支援であれば十分に受け止められることを実感した。今回の介入により、在宅障害者に対する介護や支援には改善を加える余地が残されている現状があること、小児期からの障害に対しては、成長発達の時期を過ぎて日々の生活介護が必要な年齢になっても、リハビリテーションスタッフによる適切な評価と介入が機能維持と改善に向けて必要であることが示唆され、在宅障害者への支援の質の担保という課題があることを我々関係者に示したと言える。
著者
大城 昌平 藤本 栄子 小島 千枝子 中路 純子 池田 泰子 水池 千尋 飯嶋 重雄 福永 博文
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、ハイリスク児の出生早期からの発達と育児支援の方法を開発し、フォローアップシステムを構築することを目的とした。その結果、出生早期からの親子の関係性を視点とした"family centered care"によるディベロップメンタルケアの取り組みが、児の行動発達、両親の心理的安定、育児の自信につながることが示された。また、そのような取り組みには、関係専門職者に対する、ディベロップメンタルケアの理論的実践的な教育の機会を提供し、低出生体重児・早産児のケアの質を改善することが急務の課題であると考えられた。