著者
向 文緒 ムカイ フミオ Mukai Fumio 中川 与四郎 ナカガワ ヨシロウ Nakagawa Yoshiro 原 健男 ハラ タケオ Hara Takeo 伊藤 玲子 イトウ レイコ Ito Reiko 中路 純子 ナカジ ジュンコ Nakaji Junko 杉村 公也 スギムラ キミヤ Sugimura Kimiya
出版者
中部大学生命健康科学研究所
雑誌
生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.40-47, 2011-03

大学内の社会資源を活用して、地域の社会資源と在宅精神障害者を結びつけ、在宅精神障害者の就労を促進する支援モデルを開発することを企図して大学内の社会資源を利用した実地訓練を含む「中部大学在宅精神障害者のための就労準備講座」を実施しその有効性を検討する予備的研究を行った。受講前後の受講生の認知機能と、心理社会機能、職業準備性を測定し、その差の検討を行い、参加状況による受講生の特性、各検査結果、終了時の受講生の振り返り内容を比較検討した。その結果、本講座が「注意の集中・維持機能」や「社会適応度」、「就労準備性の達成度と自信」の促進に良い影響を与える可能性があることが示唆された。他方、就労準備性を行動変容という視点から見たときには「支援を求め受ける力」、「働く場でのルール・態度」、「仕事に必要な作業遂行力」の促進のための課題があることが示唆された。また、参加状況による比較から、既存の就労継続支援B 型で適応している者にとって本講座は病状悪化を誘発する危険性を孕むものであること、既存の支援に適応しない群の中に本講座に適応する者がいること、病状類型と 「支援-増悪」 に関連があることが示唆された。
著者
美和 千尋 杉村 公也 川村 陽一 出口 晃 岩瀬 敏
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.187-193, 2002 (Released:2010-04-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1

The purpose of this study was to eliminate factors of accidents during Japanese style bathing of the elderly.We investigated the age-related changes in cardiovascular and thermoregulatory function in response to the bathing at 40°C. We measured the blood pressure and the heart rate using an automatic spygmomanometer, the skin blood flow at the forearm using laser Doppler flowmetry, the tympanic temperature using a thermistor, and the sweat rate at dorsum manus using the ventilated capsule method during bathing at 40°C for 20min in 10 aged (73.5±8.4, mean±SD) and 10 young subjects (19.8±1.8).Aged subjects failed to maintain a stable blood pressure during the immersion in the bathtub. While the heart rate during the bathing significantly changed in the young subjects, no change was observed in the aged subjects. Skin blood flow, tympanic temperature, and sweat rate increased during the bathing for both in the aged and the young subjects, though with smaller changes among aged subjects.These findings suggest that the adaptability of cardiovascular and thermoregulatory functions to heating and hydrostatic pressure during Japanese style bathing decreases with age.
著者
曽我部 知明 杉村 公也 川村 陽一 水谷 智恵美 渥美 峻輔 和田 美奈子 島崎 博也 辻野 陽子 近藤 真由 西垣内 美佳 山添 智子
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.23, pp.O018, 2007

【目的】脳卒中片麻痺患者が自動車運転を希望する例は少なくない。そこで、本研究は当院で実施している身体機能評価を用いて、自動車運転している群(以下運転群)、自動車運転を希望しているがしていない群(以下非運転群)の2群の各データから、脳卒中片麻痺患者の運転可否を判定するための判別関数を求めることを目的とした。<BR>【対象】対象は、本研究に同意が得られた脳卒中片麻痺患者20例(男性19名、女性1名、平均年齢58.4±6.6歳、発症までの平均運転歴378.4±94.7ヶ月、運転群11名、非運転群9名)であった。<BR>【方法】測定項目は、発症前運転歴、上肢、手指、下肢の運動麻痺の程度(Brunnstrom stage〔以下Br.stage〕)、上肢筋力(非麻痺側握力)、下肢筋力(非麻痺側下肢最大筋力を測定しピーク値を体重で除した値〔N・m/kg〕)、運動耐用能(6分間歩行距離〔以下6MWD〕)、歩行能力評価(10m歩行時間、10m歩数)、立位動的バランス能力指標(Timed Up&GO Test〔以下TUG〕)、バランス評価(Berg Balance Scale〔以下BBS〕)、ADL評価(機能的自立度評価法〔以下FIM〕)を用いた。運転群、非運転群の2群を判別するために、多変量解析の判別分析を用い、線形判別関数を求めた。なお本研究は、当院倫理審査委員会の承認を得て実施した。<BR>【結果】分散共分散行列の等分散に関する検定は有意ではなく、等分散であったため、線形判別関数を、Z=17.90499*Br.stage手指+46.13531*下肢筋力-0.26896*運転歴+6.320207*10m歩行時間-17.2167*Br.stage上肢+3.262781*FIM-3.5203*10m歩数+2.330337*BBS-1.18787*TUG+0.09723*6MWD-2.2287*Br.stage下肢-0.17041*握力-425.2(Z≧0ならば運転群に判別、Z<0ならば非運転群に判別、正判別率1.00、誤判別率0.00013)と求めることが出来た。判別に大きく関っている項目は、Br.stage手指(P=0.012)、下肢筋力(P=0.013)、運転歴(P=0.025)、10m歩行時間(P=0.030)、Br.stage上肢(P=0.036)、FIM(P=0.036)であった。<BR>【考察】脳卒中片麻痺患者に対し、自動車運転可否の評価を試みた報告の多くが、発症後も運転を継続する可能性が高いのは上肢の麻痺が軽度、運動機能、ADLが高い傾向があると述べている。今回の結果から、運転可否の判別に大きく関っている項目にも同様の傾向がみてとれ、半側空間無視など明らかに自動車運転に支障をきたす高次脳機能障害がみられない場合において、運転の安全性を確認する上で身体機能についても評価していく必要があるといえる。<BR>