著者
門倉 利守 今村 浩美 中里 厚実
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.315-317, 1992-04-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
4

竹田らが開発したライスワインをアルコール4.0%前後, 酸度2.8前後, 糖8.0%前後に調製した。これに器底に付着性の強いSaccharomyces cerevisiae IFO2019を接種密栓して25℃ で繁殖させ, ガス圧2.5kg/cm2前後に達した時点で熱殺菌 (50~55℃, 1時間) して発酵を停止させ, 発泡性の低アルコール飲料の開発, 製造を行った。その結果, 低アルコール酒を感じさせない果実酒様の発泡性ライスワインを開発することができた。また, 密栓したビン内で繁殖した酵母細胞は器底に強く付着しているので, 開栓してグラスに注ぐ時も菌体が浮遊して白濁するようなことはなかった。'
著者
中里 厚実
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.205-211, 2016-03-15

我々人類の生活に最も深くかかわってきた酵母の一つにSaccharomyces属が存在する。1838年Meyenによって分離された酵母がS.cerevisiaeと命名されて以来,Saccharomycesに属する多くの酵母が分離されている。一方,S.cerevisiaeには多くの実用酵母が含まれる。すなわち,清酒酵母は葡萄酒酵母やパン酵母と同種と考えられていた。しかし,ビオチンの要求性において清酒酵母と他の実用酵母に差異があることが約半世紀前に初めて認められた。以来,イーストサイジンに対する抵抗性,細胞表面の荷電状態,高濃度アルコール生成など,清酒酵母と他の実用酵母の多くの相違が細胞学的,醸造学的見地から報告された。さらに,1990年代に入り,電気泳動法により生化学的,染色体的見地からの相違が報告された。情報科学の発展と共に2010年代に入り,清酒酵母のゲノム情報も公開されている。