著者
中野 允裕 石黒 勝彦 木村 昭悟 山田 武士 上田 修功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.286, pp.197-204, 2013-11-12

本稿では,関係データ解析への応用を目的として,無限サイズを持つ行列の長方形分割を行う確率過程について議論する.関係データ解析法の一つとして、与えられたデータを行列として表現し、その行列を少数の長方形クラスタに分割する手法が広く利用されている。長方形分割を表す確率的生成モデルとして従来Chinese restaurant processの積やMondrian processなどが用いられてきたが,これらは限られたクラスの長方形分割しか表現することが出来なかった.より一般に任意の長方形分割を生成しうる確率モデルとしてGilbert tessellationが知られているが,これは統計的な振る舞いの解析が困難であることが知られている.そこで本稿では,有限確率モデルの無限拡張によって長方形分割のための確率過程を構成する方法を提案する.はじめに,確率過程構成の常套手段であるKomogorovの拡張定理を用いた方法を示し,その問題点を明らかにした後,より洗練された構成法として有限のベイズ階層モデルに関する射影系をOrbanzの拡張定理によって無限拡張する方法を提案する.
著者
中野 允裕 ルルージョナトン 亀岡 弘和 中村 友彦 小野 順貴 嵯峨山 茂樹
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-8, 2011-07-20

本報告では,音楽信号のような多重音を解析するための手法として,Bayesian nonparametrics に基づく音響信号スペクトログラムのモデル化方法を提案し,その構成法と推論について議論する.近年,非負値行列分解に代表されるようなスパース表現基づく音楽信号のモデル化が盛んに研究されている.その中で解決すべき二つの問題が注目を集めている.一つ目は楽器音が時間変化する多様なスペクトルを持つ点であり,もう一点は観測信号中に含まれる音源の数が一般的には未知なことである.さらに,楽器音の多様なスペクトルは音源数の推定を困難にし,また逆に音源数が未知であることによって一音一音がどの程度多様なスペクトルを持つか推定することを困難にしている.本報告では,これら二つの課題を同時に解消するために,信号の重畳を表す非負値行列分解型のスパース表現と時系列パターンを表現する隠れマルコフモデルを Bayesian nonparametrics 上で融合させたスペクトログラムモデルを提案する.This paper presents a Bayesian nonparametric latent source discovery method for music signal analysis. Recently, the use of latent variable decompositions, especially nonnegative matrix factorization (NMF), has been a very active area of research. These methods are facing two, mutually dependent, problems: first, instrument sounds often exhibit time-varying spectra, and grasping this time-varying nature is an important factor to characterize the diversity of each instrument; moreover, in many cases we do not know in advance the number of sources. Conventional decompositions generally fail to cope with these issues as they suffer from the difficulties of automatically determining the number of sources and automatically grouping spectra into single events. We address both these problems by developing a Bayesian nonparametric fusion of NMF and hidden Markov model (HMM).
著者
中野 允裕 大石 康智 亀岡 弘和 向井 良 柏野 邦夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.111, pp.31-36, 2012-06-22
参考文献数
13

本稿では,隠れマルコフモデルの拡張として,隠れ状態のペアである状態遷移の中のクラスタを抽出する能力を有した新しいモデルについて議論する.提案するモデルでは,状態遷移確率の配列をモンドリアン模様に誘導することによって,複数の系列データから隠れ状態系列を推定すると同時に隠れ状態間のネットワークの中のクラスタを発見することが出来る.提案モデルの応用例として音楽信号に適用した実験を示す.