著者
儀間 裕貴 黒宮 寛之 渡辺 はま 中村 友彦 多賀 厳太郎
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.90-98, 2019 (Released:2019-04-20)
参考文献数
22

【目的】極低出生体重児のフォローアップ健診で1 歳6 ヵ月・3 歳時に実施した問診評価の結果と,6 歳時発達の関連を検討する。【方法】極低出生体重児212 例を対象とした。6 歳時フォローアップ健診の結果に基づき,対象を4 群(定型発達,非定型発達,自閉症スペクトラム障害,脳性麻痺)に分類し,問診の各選択肢において,定型発達群と比較した各群における回答割合の差とリスク比を検討した。また,自由記載欄への回答について単語の出現頻度を検討した。【結果】3 歳時問診において,それぞれの群に回答割合が有意に高い設問を認め,リスク比も高値であった。自由記述の割合は,非定型発達群,自閉症スペクトラム障害群,脳性麻痺群で高い傾向があった。【結論】フォローアップ健診における問診評価は,その後の発達と関連する情報を多く含み,その傾向は1歳6 ヵ月時点に比べ3 歳時点の評価結果で高かった。
著者
坂口 けさみ 大平 雅美 芳賀 亜紀子 島田 三恵子 徳武 千足 湯本 敦子 金井 誠 市川 元基 馬場 淳 上條 陽子 楊箸 隆哉 中村 友彦 近藤 里栄
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

正期産母子に対する分娩直後のカンガルーケアの実態について、全国の産科医療機関を対象に質問紙調査を実施した。カンガルーケアは全国の約70%の施設で導入されていたが、実施方法や実施の基準は施設によってそれぞれ異なっていた。そこで、カンガルーケアを安全にかつ快適に実施するための指標を得ることを目的に、カンガルーケア中の児の安全性について呼吸・循環機能から検討するとともに、快適性について児の自律神経機能を用いて解析した。カンガルーケア中、児の呼吸機能や循環機能は安定しており、カンガルーケアの児の安全性が確認された。またカンガルーケアが児にとって快適であるかどうかは、母親の分娩経過の影響を強く受けていることが明らかとなった。
著者
森川 友樹 糸島 亮 小川 亮 小田 新 廣間 武彦 中村 友彦
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.195-199, 2022 (Released:2022-05-10)
参考文献数
18

妊娠初期の梅毒血清検査が陰性で当院への新生児搬送時には未診断であった先天梅毒の症例を経験した.母親は22歳,妊娠13週の梅毒血清検査は陰性だったが,同時期に外陰部に潰瘍を認め,診断に至らず軽快していた.児は33週5日,出生体重1,586g,緊急帝王切開で出生した.重症新生児仮死となり当院へ新生児搬送となった.鞍鼻,全身の皮膚の落屑,肝脾腫を認め,児の梅毒血清抗体価の上昇から先天梅毒と診断した.出生時よりなんらかの先天感染を疑い,Ampicillin(ABPC),Cefotaxime(CTX)による抗生剤治療を開始していたが,日齢4の先天梅毒の確定診断後よりBenzylpenicillin(PCG)に切り替え10日間治療した.後障害なく退院し1歳半時点で成長発達は正常である.近年,若年女性の梅毒および先天梅毒の報告数が増加しており,妊娠初期以降の梅毒感染にも注意する必要がある.
著者
小森 祥太 坪井 崇 鈴木 将史 中村 友彦 勝野 雅央
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001740, (Released:2022-07-22)
参考文献数
15
被引用文献数
1

症例は71歳女性.63歳でパーキンソン病を発症し,66歳からウェアリングオフ,その後ジスキネジアも出現した.3日前からジスキネジアの増悪,前日から発熱あり,高クレアチンキナーゼ血症を認め入院.筋強剛を伴わず覚醒中に持続する重度ジスキネジアを認め,dyskinesia-hyperpyrexia syndrome(DHS)と診断した.全身管理と抗パーキンソン病薬の大幅な減量を行い,2週間で改善した.イストラデフィリンの過量服薬がDHSの誘因と考えられた.DHSは稀ではあるが致死的となり得る合併症であり,早期の診断が求められる.治療として,全身管理とともに抗パーキンソン病薬の減量が重要である.
著者
儀間 裕貴 渡辺 はま 木原 秀樹 中野 尚子 中村 友彦 多賀 厳太郎
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.115-123, 2017 (Released:2017-04-20)
参考文献数
29
被引用文献数
4

【目的】Fidgety movements(以下,FMs)が出現する修正2~5ヵ月時の自発運動特性を明らかにするため,観察評価と四肢運動指標の関連を検討する。【方法】修正49 ~60 週に撮影した極低出生体重児の自発運動を観察し,Prechtl らによるFMs の観察評定方法で3 群(normal,absent,abnormal)に分類した。また,動画から得た四肢運動座標データより平均速度,運動単位数,尖度,平均曲率,四肢運動の同時性などの運動特性指標を算出し,観察評価と各指標の関連を検討した。【結果】観察評価でFMs なしと判定された群は,FMs 正常と判定された群に比べて下肢の平均曲率が有意に低かった。また,FMs が異常と判定された児の多くは,6 歳時点で何らかの発達障害を認めた。【結論】下肢の平均曲率はFMs の微細な運動特徴を捉える有効な指標であり,FMs が出現する時期の自発運動特性の定量化につながる。
著者
渡辺 宏久 陸 雄一 中村 友彦 原 一洋 伊藤 瑞規 平山 正昭 吉田 眞理 勝野 雅央 祖父江 元
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.457-464, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
69
被引用文献数
4 8

多系統萎縮症(multiple system atrophy; MSA)は進行性の神経変性疾患で,パーキンソニズム,小脳失調,自律神経不全,錐体路徴候を経過中に種々の程度で認める.孤発性が圧倒的に多いが,主として常染色体劣性を示す家系も報告されている.パーキンソニズムが優位な臨床病型はMSA-P(multiple system atrophy, parkinsonian variant),小脳失調が優位な臨床病型はMSA-C(multiple system atrophy, cerebellar variant)と呼ばれ,欧米ではMSA-Pが多く,日本ではMSA-Cが多い.平均発症年令は55~60歳,予後は6年から10年で,15年以上生存する症例もある.早期から高度に出現する自律神経不全は重要な予後不良因子の一つである.発症時には,運動症状もしくは自律神経不全のいずれか一方のみを有する症例が多く,いずれの症状も出現するまでの期間の中央値は自験例では2年である.現在広く用いられている診断基準は,運動症状と自律神経不全をともに認めることが必須であるため,運動症状もしくは自律神経不全のみを呈している段階では診断が出来ない.しかし,自律神経不全のみを呈する段階で突然死する症例もあることを念頭に置く必要がある.MSAに伴う自律神経不全の特徴の理解と病態に基づいた責任病巣の特定は,早期診断に有用な情報をもたらすと考えられる.従来は稀とされてきた認知症もMSAにおける重要な問題である.前頭葉機能低下はMSAでしばしば認め,MRIやCTにて進行とともに前頭側頭葉を中心とする大脳萎縮も明らかとなる.最近では,前頭側頭型認知症の病型を示す症例も報告されている.MSAの病態と症候の広がりを踏まえた,早期診断方法開発は,病態抑止治療展開の上でも極めて重要である.
著者
竹川 佳成 植村 あい子 奥村 健太 高道 慎之介 中村 友彦 平井 辰典 森尻 有貴 矢澤 櫻子
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2016-MUS-112, no.10, pp.1-6, 2016-07-23

「新博士によるパネルディスカッション」 は,音楽情報科学の研究に取り組んできた博士号を取得したばかりの方を集め,研究の紹介,博士課程進学の動機,博士課程在学中のドラマ,今後の抱負などについてパネル形式で議論する.本稿では,今回パネリストとして参加していただく 7 名の新博士を紹介する.
著者
中野 允裕 ルルージョナトン 亀岡 弘和 中村 友彦 小野 順貴 嵯峨山 茂樹
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-8, 2011-07-20

本報告では,音楽信号のような多重音を解析するための手法として,Bayesian nonparametrics に基づく音響信号スペクトログラムのモデル化方法を提案し,その構成法と推論について議論する.近年,非負値行列分解に代表されるようなスパース表現基づく音楽信号のモデル化が盛んに研究されている.その中で解決すべき二つの問題が注目を集めている.一つ目は楽器音が時間変化する多様なスペクトルを持つ点であり,もう一点は観測信号中に含まれる音源の数が一般的には未知なことである.さらに,楽器音の多様なスペクトルは音源数の推定を困難にし,また逆に音源数が未知であることによって一音一音がどの程度多様なスペクトルを持つか推定することを困難にしている.本報告では,これら二つの課題を同時に解消するために,信号の重畳を表す非負値行列分解型のスパース表現と時系列パターンを表現する隠れマルコフモデルを Bayesian nonparametrics 上で融合させたスペクトログラムモデルを提案する.This paper presents a Bayesian nonparametric latent source discovery method for music signal analysis. Recently, the use of latent variable decompositions, especially nonnegative matrix factorization (NMF), has been a very active area of research. These methods are facing two, mutually dependent, problems: first, instrument sounds often exhibit time-varying spectra, and grasping this time-varying nature is an important factor to characterize the diversity of each instrument; moreover, in many cases we do not know in advance the number of sources. Conventional decompositions generally fail to cope with these issues as they suffer from the difficulties of automatically determining the number of sources and automatically grouping spectra into single events. We address both these problems by developing a Bayesian nonparametric fusion of NMF and hidden Markov model (HMM).
著者
田口 宗太郎 中村 友彦 山田 孝子 髙御堂 弘 道勇 学 髙橋 昭
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.29-32, 2015 (Released:2015-01-19)
参考文献数
13

症例は61歳の男性である.感冒様症状に続き,便秘,座位での眼前暗黒感,嘔気が出現.座位にて顕著な血圧低下あり.末梢神経伝導検査(NCS),心電図CVR-R,MIBG心筋シンチ心縦隔比は正常.血中LD,IL-2Rの高値と脊椎MRIから腫瘍がうたがわれた.傍腫瘍性自律神経ニューロパチーを考えたが原発巣不明.発症2ヵ月後,四肢遠位部手袋靴下型感覚障害と筋力低下が発現し増悪,発症4ヵ月後のNCSで異常を呈し,免疫グロブリン療法を施行したが無効.発症5ヵ月後,顔面皮疹からT細胞性悪性リンパ腫と診断.本例は自律神経不全で初発,末期に感覚運動障害を併発.T細胞性悪性リンパ腫の傍腫瘍性神経症候群としては稀有である.
著者
中村友彦 吉井和佳 後藤真孝 亀岡弘和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.11, pp.1-6, 2014-08-18

本論文では,調波楽器音の周波数特性とドラムの音色を,音楽音響信号間で楽譜を用いずに置換するシステムを提案する.このシステムでは,まず置換元の音楽音響信号 (インプット) と置換先の音楽音響信号 (リファレンス) の振幅スペクトルをそれぞれ調波楽器音成分と打楽器音成分のスペクトルに分離し,それぞれの成分に対して独立に処理を行う.調波楽器音成分のスペクトルの周波数特性をスペクトルの山周辺と谷周辺を通る 2 つのスペクトル包絡によって特徴付け,インプットの調波楽器音成分の振幅スペクトルを,インプットとリファレンスの調波楽器音成分のスペクトル包絡が類似するように変形する.インプットとリファレンスの打楽器音成分のスペクトログラムは,各ドラム楽器毎のスペクトログラムに分離した後,ユーザによって指定されたインプットのドラム楽器の音色をリファレンスのドラム楽器の音色に置換する.主観評価実験により,提案するシステムが周波数特性とドラムの音色を適切に置換できることを確認した.