- 著者
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小泉 宏之
船瀬 龍
鷹尾 祥典
中野 正勝
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 基盤研究(S)
- 巻号頁・発行日
- 2016-05-31
本研究の目的は,推進剤として水を活用し3種類の高効率/大推力/多軸制御可能なスラスタを統合させたオールラウンド超小型推進系を実現させることである.この目的に向けて平成29年度の下記3つの柱の研究を進めた.1.水イオンスラスタ.本年度は下記4項目の実験および数値計算研究を実施した:1A:実験におけるイオン生成コストの低減,2B:電子電流増加のための基礎実験および作動モード確認,1C:3D-Full-PICプラズマ解析コードの発展(昨年度の多種イオンの強化および負イオン導入準備)および同コードを用いた推進剤流入位置検討,1D:全孔ビーム計算の確立.特に,1Aにおいてはイオン生成コストの143 W/Aまでの低減に成功し,1Dにおいては世界的にもイオンスラスタとして初となる全孔計算の成功とその必要性を示すことに成功した.2.水レジストジェットスラスタ.同スラスタの微小・希薄ノズルにおける低Re数の効果として,先行研究科から指摘されている境界層(粘性)の他に,背圧依存性が大きいことを見出した.また,水質量のリアルタイム測定方法を確立し精度の高い比推力評価方法を確立した.実応用面では気化室を統合したBBMおよびEMによりスラスタ作動の実証に成功した.3.排熱利用衛星設計.最終目的は,衛星システムの排熱を本スラスタへ利用するための最適な気化室設計とコンポーネント配置設計を行い,実機モデルを用いて実証することである.このために本年度は,昨年度に実施した6U CubeSatの水レジストジェットスラスタの熱設計結果を最適化するとともに,そこで得られた知見を,CubeSatの機器配置設計と熱設計の同時最適化手法としてまとめた.これにより,他機器の排熱を最大限活用した,衛星全体の電力使用量の最適化(最小化)が可能となった.