- 著者
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井上 隆広
井上 三四郎
松延 知哉
岩崎 元気
菊池 直士
阿久根 広宣
丸塚 浩助
- 出版者
- 西日本整形・災害外科学会
- 雑誌
- 整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.1, pp.154-156, 2020-03-25 (Released:2020-04-30)
- 参考文献数
- 5
【症例】類表皮嚢腫は手指軟部組織に発生することは多いが,まれに骨内に発生する.末節骨内に発生した1例を経験したので報告する.【症例】41歳男性.12歳時に左示指を受傷し,縫合処置を受けた既往がある.1.5年前に近医で偶然示指末節骨透亮像を指摘された.半年前より特に誘因なく左示指疼痛が出現し,骨透亮像の増大を指摘され当科紹介となった.MRI検査で骨透亮部はT1強調画像で低信号,T2強調画像で高度の高信号を示し,造影効果は認めなかった.初診より1.5ヶ月後,腫瘍掻爬及び人工骨移植を行った.培養陰性で,病理学的に類表皮嚢腫と診断された.術後1年で可動域に左右差なく,疼痛も軽減し経過良好である.【考察】本症を診断する際には,手の受傷歴を丁寧に問診することが重要である.