著者
寺田 厚 原 宏佳 加藤 慎二 木村 剛 藤森 勲 原 耕三 丸山 司 光岡 知足
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.291-295, 1993-04-15
被引用文献数
4

猫8頭(ヒマラヤン3頭とペルシャ5頭)に乳果オリゴ糖を50mg/kg/日を2週間投与し, 投与前, 投与7日目および14日目, 投与後7日目に糞便フローラ, 糞便内腐敗産物, 水分, pH, 尿内アンモニアおよび環境のアンモニアを測定した. 腸内フローラでは投与期間中Lactobacillusは有意(p<0.05)に増加し, Clostridium perfringensとEnterobacteriaceaeは有意(p<0.05)に減少した. FusobacteriumおよびStaphylococcusは乳果オリゴ糖投与7日目に投与前に比べて有意(p<0.01)に低下し, Bacteroidesは投与後14日目に有意(p<0.001)に増加した. 検出率については, 乳果オリゴ糖投与14日目においてBifidobacteriumは有意(p<0.001)に上昇し, 一方, Spirochaetaceaeおよびレシチナーゼ陰性Clostridiumは有意(p<0.05)に低下した. 腐敗産物については, 糞便内アンモニア, エチルフェノール, インドールおよびスカトール, 並びに尿内アンモニアはいずれも投与14日目に有意に(p<0.05)低下した. 糞便水分量および便量は乳果オリゴ糖投与中わずかに増加し, 逆に糞便pHはわずかに低下した. 飼育室のアンモニア濃度(p<0.01)は減少し, 糞便臭もかなり減少した.