著者
丸山 工作
出版者
中央公論社
雑誌
自然 (ISSN:03870014)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.p70-79, 1983-12
著者
丸山 工作
出版者
千葉大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

アクチン調節タンパク質No.1のβ-アクチニン(1965)は, 本申請者によって発見されたものであるが, アクチンフィラメントの自由端(即矢じり端)に結合すると1977年に報告した. ところが, ジョンズ, ポプキンス大学のグループは, β-アクチニンと同じサブユニットからなるタンパク質をニワトリ筋肉から純化し, 反対の反矢じり端に結合して, しかもZ線に存在することを示し, キャップZと命名した(1986-87). 本研究は, この違いを解明するためにおこなわれたものである.本研究において, まず明らかになったのは, ジョンズ・ホプキンスグループの方法で純化したキャップZは, たしかにアクチンフィラメントの矢じり端ではなく反矢じり端に結合すること, 35Kと32Kのサブユニットからなることである. 後者は, β-アクチニンのサブユニット(βIとβII)と同じサイズであり, しかも抗β-アクチニン抗体と反応することから, 同一とみなされる. すなわち, キャップZとβ-アクチニンは同じタンパク質にほかならない. すると, どうしてアクチンフィラメントの異なる末端に結合するのかが問題となる.ウサギやニワトリの筋肉からβ-アクチニンを調整すると, アクチンフィラメントの両端に結合しうることがわかった. その結合の方向性がぎのようにしてきまるのかは, なお不明である. また, 抗β-アクチニン抗体は, 筋原線維の2点ならびにM線ふきんに結合することが蛍光抗体法によって示された. 抗βII抗体はZ線にのみ局在するタンパク質と反応し, 抗βI抗体はM線近く)すなわちアクチンフィラメントの自由端)を染色した. そこで, β-アクチニンは, βIとβIIのなんらかの相互作用によって, アクチンフィラメントのどちらの端にも結合しうるのではないかと思われる. この点は, さらに研究を進めていきたい.
著者
馬渕 一誠 細谷 浩史 沼田 治 浜口 幸久 田中 一馬 北山 仁志 渡辺 良雄 丸山 工作 石川 春律 木下 専
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1998

収縮環の形成機構を様々な細胞を用いて解析した。分裂酵母においては収縮環は、核分裂の間に細胞中央部に蓄積するF-アクチンケーブルから形成されることが分かった。アフリカツメガエル卵で星状体微小管が分裂溝直下で連結することを見い出した。これまで細胞質分裂のシグナルに関連していると思われていたCaイオンについて、分裂後半あるいは分裂後にCa waveの発生はあるものの、分裂溝先端ではCa blip, Ca puffといった微小なシグナルでさえ見られなかった。ウニ胚第4卵割で、中心体から近い表層ではアクチンが少なく、遠い部位ではアクチンが増えて分裂することを確かめた。即ち不等分裂する植物極側割球では、赤道面に収縮環ができる前に、植物極の表層からアクチンが減少し表層が膨らんだ後分裂溝ができた。テトラヒメナのEF-1αが2量体を形成してアクチン繊維を束ね、Ca^<2+>/CaMはEF-1αを1量体にしてアクチン繊維束形成を阻害すること、フィンブリンのアクチン結合性やアクチン繊維束形成能はCa^<2+>非感受性であり、フィンブリンが収縮環と同様に分裂構でリングを作ることを明らかにした。HeLa細胞のRhoキナーゼが、アクチン結合タンパク質であるフィラミンAと結合したので両者は収縮環中で結合して存在する可能性がある。分裂シグナル伝達に関し分裂酵母の新規のRhoファミリータンパク質Rho3を見い出した。Rho3は細胞膜に局在した。Rho3とCdc42の下流に共通の標的として新規のフォルミンFor3があってアクチン細胞骨格と微小管を支配し、細胞形状や分裂位置の決定に関与することが分かった。出芽酵母のRhoファミリータンパク質Cdc42の標的であるCla4(PAK)とBnil(フォルミン)が協調的に働き分裂部位でのセプチンリング形成を制御すること、この過程にアクチンが重要な働きをすることを示唆した。