- 著者
-
渡辺 良雄
- 出版者
- THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
- 雑誌
- 東北地理 (ISSN:03872777)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.2, pp.61-69, 1965 (Released:2010-10-29)
- 参考文献数
- 22
以上, 東北地方の都市の基本的産業構成を検討し, それが第3次産業依存である事実から, 中心地理論の解釈を適用しその規模的階層分化の事実を示した。そしてこれらの点のみに関していえば次の事を指摘出来る。1) Basic-Nonbasic 機能の統計的検出法を適用すると, 都市自体の消費等価分を超過する産業活動は, 東北地方では本質的には第3次産業のみであり, 流通と公務の都市の性格が明瞭である。2) この事実はIsolated Urban Societyに近い都市の構成性格を示唆するが, それらが全体として中央日本の都市の第2次産業との分業関係で成立する点では, 純粋なIsolated Urban Societyとも異質のものとみられる。3) これらの性格が典型的に示されるのは, 東北地方でも宮城県南縁部および山形県中部以北に限定される。4) これらの第3次産業依存の都市の地域では, 局地的には都市規模の階層分化の事実が明瞭に示される。しかしその様相は, おおよそ4つの地域的類型により規構成を異にする。従って東北地方全体といった規模の階層分化構造をみると, 異質の階構造の総和となるので全体としての分化構造は認められなくなる。