- 著者
-
丹松 美由紀
- 出版者
- 鳥取大学
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2009
理科実験に対して敷居の高さを感じている小学校教員を対象として,科学や実験に対する苦手意識の克服プログラムの開発を目的に,小学校教員対象講習会(教員向け出前おもしろ実験室)を計画・実施・評価した.これまでの知見から,休日またはわざわざ出向く形での事業に参加者を募ることは難しいことが察せられた.そこで,できるだけ多くの教員が参加しやすいように次のようなプログラムで実施した.1.すでに開発済みの小学生対象の「出前おもしろ実験室」を開催した.2.「出前おもしろ実験室」終了後(放課後),小学校教員に対して(1)気軽にでき,(2)教科書への導入につながる実験を指導し解説する講習会を実施した.3.開催前には,教員の意識と希望調査を行ない,開催後はアンケートを実施した.4.アンケート結果や,県内外の科学・技術館などと交流し情報収集することにより,開催方法,内容などを随時見直し,より効果的なものとなるよう改良しながらいくつかの形式で実施した.(1)グループ別研修:事前に希望する分野の調査を行い,それに沿った実験を指導した.実施回数2回参加人数24名(2)全員研修:準備した実験と部外講師による講義を行った.実施回数1回参加人数25名(3)他事業との共同企画:実施回数2回参加人数20名総計69名の小学校教員を対象として講習会を開催することができ,事後アンケートの結果によると,大方の参加者から高い評価を得ている.子どもを対象とした「出前おもしろ実験室」とリンクさせることで効果的なプログラムを構築できた.この研究を通して,予想以上に実験を苦手とする教員が多く,小学校教員の理科実験離れが深刻であると感じている.やらなければいけないという義務感ではなく,やってみると楽しいという意識をもつことが教員にも必要であるという知見を得た.このような活動は何より継続することで大きな効果が得られる.今後も本研究と実践を通じて,いろいろな理科授業のかたちを提案し,小学校の理科授業における実験不足を補うことに寄与できるものと期待する.