著者
久保 京子
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.155-174, 2021-08-10 (Released:2022-08-10)
参考文献数
30

本稿の目的は,Nature PhD Career Survey 2019を用いて大学院生における研究時間の長時間化の要因および長時間研究文化と教育/研究成果への満足度の関係の性差を明らかにすることである.本稿から得られた知見は以下の3点である.第一に,研究時間の長時間化は男女共通して長時間研究文化によって促進され,男性では若年者で促進され,女性では若年者や12歳未満の子どもを持つ学生で阻害される.第二に,長時間研究文化は女性の教育への満足度に負の影響を及ぼす.第三に,長時間研究文化は女性の研究成果への満足度に負の影響を及ぼし,長い研究時間そのものは男性の研究成果への満足度を高める.以上の知見から,自然科学系分野でみられる長時間研究文化は女子学生の教育/研究成果への満足度に不利に作用するといえる.
著者
大久保 京子
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.37-52, 2014-03-01

各地に伝承と共に存在する「義民」は、江戸時代においてはその土地で英雄であった。中でも佐倉惣五郎は、歌舞伎の流行もあって、よく知られた存在であっただけに、民権運動に利用されることとなる。きっかけとなった内のひとつに福沢諭吉の著作「学問のすゝめ」がある。暴政を行う政府に対し、正当に抵抗を続ける存在として「義民」を「民権家」に照らし合わせたのである。その後民権家によって多くの義民伝承が収拾、著述され、顕彰が行われたが、『東洋民権百家伝』により、全国の義民伝承の収拾がされている。本稿では、佐倉惣五郎の義民伝承の整理と共に、明治期の中でも自由民権運動の展開に「義民」がどのように利用され、影響したのかについて考察する。

3 0 0 0 IR 牛久助郷一揆

著者
大久保 京子
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.167-179, 2016-03-01

文化元(一八〇四)年に牛久宿で起きた牛久助郷一揆については、小室信介編『東洋民権百家伝』の第三秩に掲載されたことで世に出るまで、その地域ですらほとんど知られることがなかった。また掲載された後も、顕彰活動が起こることもなく、研究もいまだ地域的なものにとどまっているのが現状である。本稿は牛久助郷一揆の紹介と、義民として近代以降も活用されていくのに必要な条件について考察する。牛久助郷一揆牛久助郷騒動佐倉宗五郎東洋民権百家伝