著者
安藤 陽子 片山 哲哉 野口 孝俊 久保 善司
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.448-455, 2018-03-30 (Released:2018-03-30)
参考文献数
14

第二海堡は戦時中、首都東京への敵艦隊の侵入を防ぐための要塞として東京湾に作られた人工島である。第二海堡に使用されたコンクリートの耐久性について建設後100年以上が経過した北側護岸の被覆コンクリート(1889年建造)とカノン砲台を囲う円形周壁のコンクリート(1907年建造)の圧縮強度の測定を行った結果、現在は25N/mm2を超える値であった。15N/mm2程度に想定されていた時代において非常に高い値である。これは水和活性の低いⅡ型ビーライトからなる竪窯焼成の粗粒なセメント粒子を多く含むため、ゆっくりと水和が進行することで徐々に強度を発現してきたことが原因と考えられ、中性化深さが小さいことも同様の原因と考えられる。'
著者
鳥居 和之 奥田 由法 久保 善司 川村 満紀
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

「泰平橋」(平成12年8月撤去)の解体では,PC・T桁の一般図及び配筋図(PC鋼線,スターラップ筋,横締め構造など)を完成するとともに「泰平橋」で使用したコンクリート及びPC鋼線(直径5nmのピアノ線)の品質を調べた.その後,平成12年10月に(株)ピー・エス七尾工場(現(株)ピーエス三菱)にて,PC桁の曲げ及びせん断載荷試験を公開試験として実施し,50年が経過したPC・T桁の耐荷力及び変形性能を明らかにした.次に「長生橋」(平成13年8月撤去)の解体では,「泰平橋」と同様にPCスラブ桁の一般図および配筋図を完成するとともに,「長生橋」で使用したコンクリート及びPC鋼線(直径3mmのピアノ線)の品質を「泰平橋」と比較検討した.その後,'平成13年10月に(株)ピーエス七尾工場(現(株)ピーエス三菱)にて,PC桁本体及び合成桁の曲げ及びせん断載荷試験を公開試験として実施した.「長生橋」は移設検討委員会(座長:金沢大学工学部川村満紀教授)が設置され,復元の方法および移設の場所が検討された,移設検討委員会の方針に従って,平成14年4月に建設当時の欄干や電気灯などを復元し,「長生橋」は七尾市の希望の丘公園に移設された.また,「泰平橋」,「長生橋」に関する調査資料を整理し,歴史的価値の高い両橋梁の記録を冊子としてまとめるとともに,平成14年11月に特別講演会「コンクリートは本当に丈夫で長持ちか」を主催し,「泰平橋」,「長生橋」の調査結果を多くの土木関係者に報告した.さらに,解体調査の記録を2本のビデオ(金沢大学工学部編集,(株)ピーエス三菱編集)にまとめた.