著者
鳥居 和之 佐藤 政勝 上田 信二 川村 満紀
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.889-894, 1995-06-01
参考文献数
7

明治44年に建設された鉄筋コンクリートアーチ橋(石川橋)の解体調査にて得られた主鉄筋、配力鉄筋およびエキスパンドメタルの腐食性状、力学的性質、化学成分および金属組織の特徴を調べた。その結果、主鉄筋の強度規格は現在のSR235に相当するものであるが、鉄筋の伸びは現在のものよりもかなり大きいことが判明した。また、鉄筋の化学成分および金属組織に関しても興味深い知見が得られた。鉄筋の各種分析の結果に基づいて、当時の鉄筋の製造方法や製造地(国産または外国産)、鉄筋の腐食性状との関連性について考察している。
著者
鳥居 和之
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.117-120, 2010-04-15 (Released:2010-10-01)
参考文献数
6
被引用文献数
3 2

コンクリートのASR膨張によるコンクリート構造物の鉄筋破断の事例が40ほど報告されている.鉄筋破断が発生したコンクリート構造物のリハビリィテーションに関連して,土木技術者は鉄筋破断が発生した構造物の調査診断や維持管理に重大な関心を払ってきている.著者は石川県能登有料道路のASR劣化橋脚の補強工事に長年携わってきた.本稿は鉄筋破断が発生したASR劣化橋脚の実態とその対策の適用例について紹介するものである.
著者
広野 真一 安藤 陽子 大代 武志 鳥居 和之
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.441-448, 2014-02-25 (Released:2015-02-25)
参考文献数
11
被引用文献数
2

北陸地方では深刻なアルカリシリカ反応(ASR)が発生し、現在でも収束していない。地域の事情を考慮したASR抑制対策としては、フライアッシュセメントの使用が最も有効である。分級フライアッシュと高炉スラグ微粉末によるASR抑制効果を、富山県の代表的な反応性骨材に対し、JIS A 1146とデンマーク法により検証した。その結果、分級フライアッシュ15%置換は高炉スラグ42%置換よりも優れた効果を発揮したが、JIS A 1146で特に優位であった理由として、SEM-EDSで確認された微細な粒子周囲の反応相増大と0.9程度の低Ca/Si比のC-S-Hの生成によるアルカリ吸着がもたらす細孔溶液のOH-減少の効果が最も大きいと推察された。
著者
鳥居 和之 奥田 由法 久保 善司 川村 満紀
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

「泰平橋」(平成12年8月撤去)の解体では,PC・T桁の一般図及び配筋図(PC鋼線,スターラップ筋,横締め構造など)を完成するとともに「泰平橋」で使用したコンクリート及びPC鋼線(直径5nmのピアノ線)の品質を調べた.その後,平成12年10月に(株)ピー・エス七尾工場(現(株)ピーエス三菱)にて,PC桁の曲げ及びせん断載荷試験を公開試験として実施し,50年が経過したPC・T桁の耐荷力及び変形性能を明らかにした.次に「長生橋」(平成13年8月撤去)の解体では,「泰平橋」と同様にPCスラブ桁の一般図および配筋図を完成するとともに,「長生橋」で使用したコンクリート及びPC鋼線(直径3mmのピアノ線)の品質を「泰平橋」と比較検討した.その後,'平成13年10月に(株)ピーエス七尾工場(現(株)ピーエス三菱)にて,PC桁本体及び合成桁の曲げ及びせん断載荷試験を公開試験として実施した.「長生橋」は移設検討委員会(座長:金沢大学工学部川村満紀教授)が設置され,復元の方法および移設の場所が検討された,移設検討委員会の方針に従って,平成14年4月に建設当時の欄干や電気灯などを復元し,「長生橋」は七尾市の希望の丘公園に移設された.また,「泰平橋」,「長生橋」に関する調査資料を整理し,歴史的価値の高い両橋梁の記録を冊子としてまとめるとともに,平成14年11月に特別講演会「コンクリートは本当に丈夫で長持ちか」を主催し,「泰平橋」,「長生橋」の調査結果を多くの土木関係者に報告した.さらに,解体調査の記録を2本のビデオ(金沢大学工学部編集,(株)ピーエス三菱編集)にまとめた.
著者
川村 満紀 谷川 伸 五十嵐 心一 鳥居 和之
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究は、融雪・融氷剤(塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム)のコンクリートの化学的劣化におよぼす影響およびそのメカニズムを解明するものである。融雪・融氷剤(塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム)による影響を想定された各種温度および濃度条件の下で綿密に調べることにより、融雪・融氷剤によるコンクリート構造物の化学的劣化に対しての防止対策について具体的な指針を確立することを目的とした。研究計画は、(1)融雪・融氷剤によるコンクリートの化学的劣化メカニズムの解明、(2)融雪・融氷剤によるコンクリート構造物の化学的劣化に対しての防止対策の確立、とに大別できる。(1)に関しては、濃度および温度を変化させた塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム溶液に各種配合のセメントモルタル供試体を浸漬し、浸漬材令に伴う強度の低下および膨張量の変化などを調べることにより、高濃度の塩化カルシウム溶液においてのみ化学的劣化現象が発生することを明らかにした。また、高濃度の塩化カルシウム溶液による劣化現象がコンクリート中の水酸化カルシウムの溶解とそれに伴う複塩(CaO・CaCl_2・15H_2O)の生成によるものであることを明らかにした。(2)に関しては、各種鉱物質混和材(フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフューム)の使用したコンクリートの塩化カルシウム腐食に対する抵抗性を検討するとともに、融雪・融氷剤のコンクリート内部への浸透防ぐ目的で使用される各種表面塗布材の遮塩性およびその化学的劣化現象に対する効果について明らかにした。以上の研究成果をふまえて、融雪・融氷剤によるコンクリートの化学的劣化のメカニズムについて解明するとともに、このような劣化現象の防止対策について具体的な提案を行った。