著者
久保 彰子 久野 一恵 丸山 広達 月野木 ルミ 野田 博之 江川 賢一 澁谷 いづみ 勢井 雅子 千原 三枝子 仁科 一江 八谷 寛
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.586-594, 2022-08-15 (Released:2022-08-04)
参考文献数
15

目的 新型コロナウイルス感染症の蔓延により2020年度および2021年度の国民健康・栄養調査が中止され,都道府県の調査も中止または延期が予想されたため,日本公衆衛生学会公衆衛生モニタリング・レポート委員会生活習慣病・公衆栄養グループでは都道府県民健康・栄養調査の実施状況を調査し,公衆衛生施策立案のために必要なデータ収集の現状と課題を検討した。方法 47都道府県の調査担当者を対象に,郵送もしくは電子媒体による自記式質問紙調査を実施した。結果 47都道府県(回収率100%)から回答が得られた。健康・栄養調査を実施しているのは44自治体(93.6%)であった。新型コロナウイルス感染症の影響から2020年度調査予定の18自治体のうち「予定通りの内容で実施した」は2(11.1%)「中止した」は16(88.9%)であった。2021年度調査予定の31自治体のうち「予定通りの内容で実施した」は4(12.9%)「内容を一部変更して実施した」は5(16.1%)「中止した」は22(71.0%)であった。今後の調査方法について,身体状況調査実施の32自治体のうち「変更する予定はない」は6(18.8%)「未定」は18(56.3%)であった。栄養摂取状況調査実施の40自治体のうち「変更する予定はない」は12(30.0%)「未定」は19(47.5%)であった。2か年とも調査を中止した13自治体の各種計画評価は「各種計画期間を延長する」8(61.5%)「その他」7(53.8%)であった。2か年に調査を中止または延期した38自治体のうち,各種計画評価に関する問題点は「調査法の変更に伴う経年評価が不可能になる」「コロナ禍でのライフスタイル変化の影響が想定される」「評価に影響はないが評価期間が短縮となる」「国民健康・栄養調査中止により全国比較が不可能である」等があげられた。結論 都道府県健康増進計画等の評価のため,ほとんどの自治体が都道府県民健康・栄養調査を実施していた。また,全国比較ができるよう国民健康・栄養調査と同じ方式で実施する自治体が多かった。新型コロナウイルス感染症の影響により,国民健康・栄養調査と同様に調査を中止する都道府県が多く,今後の調査も未定と回答する自治体が多かった。
著者
久保 彰子 久野 一恵 丸山 広達 月野木 ルミ 野田 博之 江川 賢一 澁谷 いづみ 勢井 雅子 千原 三枝子 仁科 一江 八谷 寛
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.22-020, (Released:2022-06-30)
参考文献数
15

目的 新型コロナウイルス感染症の蔓延により2020年度および2021年度の国民健康・栄養調査が中止され,都道府県の調査も中止または延期が予想されたため,日本公衆衛生学会公衆衛生モニタリング・レポート委員会生活習慣病・公衆栄養グループでは都道府県民健康・栄養調査の実施状況を調査し,公衆衛生施策立案のために必要なデータ収集の現状と課題を検討した。方法 47都道府県の調査担当者を対象に,郵送もしくは電子媒体による自記式質問紙調査を実施した。結果 47都道府県(回収率100%)から回答が得られた。健康・栄養調査を実施しているのは44自治体(93.6%)であった。新型コロナウイルス感染症の影響から2020年度調査予定の18自治体のうち「予定通りの内容で実施した」は2(11.1%)「中止した」は16(88.9%)であった。2021年度調査予定の31自治体のうち「予定通りの内容で実施した」は4(12.9%)「内容を一部変更して実施した」は5(16.1%)「中止した」は22(71.0%)であった。今後の調査方法について,身体状況調査実施の32自治体のうち「変更する予定はない」は6(18.8%)「未定」は18(56.3%)であった。栄養摂取状況調査実施の40自治体のうち「変更する予定はない」は12(30.0%)「未定」は19(47.5%)であった。2か年とも調査を中止した13自治体の各種計画評価は「各種計画期間を延長する」8(61.5%)「その他」7(53.8%)であった。2か年に調査を中止または延期した38自治体のうち,各種計画評価に関する問題点は「調査法の変更に伴う経年評価が不可能になる」「コロナ禍でのライフスタイル変化の影響が想定される」「評価に影響はないが評価期間が短縮となる」「国民健康・栄養調査中止により全国比較が不可能である」等があげられた。結論 都道府県健康増進計画等の評価のため,ほとんどの自治体が都道府県民健康・栄養調査を実施していた。また,全国比較ができるよう国民健康・栄養調査と同じ方式で実施する自治体が多かった。新型コロナウイルス感染症の影響により,国民健康・栄養調査と同様に調査を中止する都道府県が多く,今後の調査も未定と回答する自治体が多かった。
著者
久保 彰子 大原 直子 焔硝岩 政樹 積口 順子 須藤 紀子 笠岡(坪山) 宜代 奥田 博子 澁谷 いづみ
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.344-355, 2020

<p><b>目的</b> 本研究は,災害時の栄養・食生活支援について,対人サービスに係る被災者の健康管理支援と対物サービスに係る被災者への提供食の準備状況を明らかにすることと準備における行政管理栄養士等の関わりの状況を検討することを目的とした。</p><p><b>方法</b> 2018年9月,全国1,741市区町村の防災担当課宛に大規模災害時の栄養・食生活支援に係る準備状況を尋ねる質問紙調査を依頼した。防災担当課で回答が難しい質問は関係各課に照会し回答するよう求めた。基本集計の他,地域防災計画等策定への行政管理栄養士等の参画の有無および常勤行政管理栄養士等の配置の有無と質問項目との関連をピアソンのカイ二乗検定で調べた。</p><p><b>結果</b> 1,056市区町村から回答があった(回収率60.7%)。栄養・食生活支援を計画等へ記載している市区町村は52.8%,要配慮者の把握の防災計画等への記載は35.9%だった。要配慮者に対応した固定備蓄として,おかゆを備えているのは28.2%,乳児用粉ミルクは30.8%,アレルギー対応食は20.9%であった。炊き出しを提供する市区町村は82.1%だが献立基準を設定しているのは5.2%,弁当等を事前協定している市区町村は32.6%,献立基準を設定しているのは0.9%と少なかった。常勤行政管理栄養士等の発災時の従事内容は,要配慮者への支援33.2%,炊き出し又は弁当等の献立作成や助言39.3%だった。管理栄養士等の応援要請を記載している市区町村は29.0%と少なく,応援要請しない理由は,どのような活動をしてもらえるのかわからないが33.6%と最も多かった。地域防災計画等に行政管理栄養士等が参画したところは,栄養・食生活支援の記載や食事調査の実施,食事調達や炊き出し等の関係部署との連携が多かった。常勤行政管理栄養士等が配置されているところは,それらに加え流通備蓄や食料の衛生保管および適温提供の機器整備も多かった。</p><p><b>結論</b> 栄養・食生活支援に関する記載や要配慮者に対応した食品備蓄は以前より増加したが,炊き出しは減少した。要配慮者に対応した食事提供や炊き出しおよび弁当等の献立基準の作成等,行政管理栄養士等の関与が必要な準備について防災担当課等との連携不足が示唆され,積極的な関与が必要と考えた。一方,常勤行政管理栄養士等が未配置の市区町村は,管理栄養士を活用した食事提供支援の準備をすすめるために適正な配置が望まれた。</p>