著者
久保田 恭行 西山 哲 矢吹 信喜 福田 知弘 手塚 仁 尾畑 洋 村上 治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_77-I_88, 2021 (Released:2021-03-15)
参考文献数
37

トンネル工事での肌落ち災害を防止するため,作業中は切羽の状態を常時継続的に監視する必要がある.切羽での大規模な崩壊の予兆として,崩壊までの時間に差はあるものの小規模な落石が見られる場合があるが,目視では落石の確認が困難であるため,大規模崩壊に巻き込まれ,重大災害に繋がる可能性がある.そこで,筆者らはAIにより切羽のみに解析範囲を制限し,背景差分法を軸に面的に落石を検出するシステムの開発を検討した.本研究では,落石検出の処理の解析範囲を切羽に制限することや,粉塵といった微小な物体や映像のノイズ除去等について検討した.次に切羽の大規模崩壊の前兆となる落石を想定した映像を用いて画像解析を行った.その結果,小規模な落石を検出でき,肌落ち災害の発生リスクを軽減する可能性を示した.
著者
久保田 恭行 矢吹 信喜 福田 知弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.21-34, 2022 (Released:2022-07-20)
参考文献数
38

シールドトンネルの工事では,計画線形に沿う掘進が基本であるが,実績との間に偏差が生じる.この際,生じた偏差を緩やかに計画線形に戻す目標線形を描き,これに沿って掘進する必要がある.これらの作業は熟練者の経験や試行錯誤の操作によりシールドマシンを制御しており,省力化が課題である.また,熟練した技術力を有する掘進管理者とオペレータは高齢化し,そうした技術力が失われることが懸念される.このため,機械学習によりシールドマシンの操作を自動化することが求められるが,関連研究の手法では目標線形に沿って掘進する操作パラメータを自動算出できなかった.そこで,本研究では,機械学習を用いて,計画線形が直線である区間を対象に,操作パラメータの最適値を自動算出する手法である自動操縦モデルを開発することを目的とする.
著者
久保田 恭行 森 守正 安田 亨 小山 倫史 西山 哲
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.135-145, 2022-06-01 (Released:2022-06-01)
参考文献数
38

トンネル工事での地下水問題に対応するため,迅速かつ正確な湧水量の予測手法が求められる。このため,岩盤工学的な物性がほぼ一様であり湧水量の変動の小さい地山を対象に,坑口湧水量を予測し,施工に反映する湧水量の予測手法が開発されたが,予測値が観測値より大きくなり,濁水処理設備の規模等に関して過剰設計が指摘されている。原因の一つとして,実現象で発生する湧水の鉛直浸透の影響と切羽前方の地下水位が低下する影響を考慮していないことが考えられる。そこで,本研究では開発された湧水量の予測手法を基に,それらの影響を新たに考慮できるよう物理モデルを拡張した湧水量の予測手法を提案し,岩盤工学的な物性がほぼ一様であり湧水量の変動の小さい既施工トンネルのデータを用いて検証を行った。その結果,精度良く湧水量を予測でき,施工に効率的に反映できる可能性を示した。