著者
青木 孝浩 康 勝好 川口 裕之 久保田 泰央 大山 亮 森 麻希子 荒川 ゆうき 磯部 清孝 野々山 恵章 花田 良二
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.440-443, 2015

ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ<sup>®</sup>,以下GO)は,本邦において2005年にCD33陽性の再発・難治性急性骨髄性白血病(以下AML)に対して保険承認された.しかし,成人AMLに対しては用法・用量が定まっている一方で,小児AMLに対する用法・用量は定まっていない.我々はこれまでに寛解導入療法後に非寛解であった小児難治性AML4症例に対し,分割GO単剤療法(9 mg/m<sup>2</sup> 3分割投与)を行い,4例中2例でGO投与後に完全寛解となった.分割GO単剤療法中にGrade 2のinfusion reactionを2例で認め,肝中心静脈閉塞症(以下VOD)は認めなかった.Grade 3の感染症を全例で認めたが,他に重篤な非血液毒性は認めなかった.分割GO単剤療法後は全例で同種造血幹細胞移植(以下HSCT)を行い,3例が再発した.治療関連死亡はなかったが,HSCT後に2例でVODを発症した.有害事象を軽減しうる分割GO単剤療法であっても感染症やその後のHSCT時におけるVODには十分な注意が必要である.