- 著者
-
久保田 純
- 出版者
- 一般社団法人 日本社会福祉学会
- 雑誌
- 社会福祉学
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.1, pp.86-98, 2017
<p>本研究では,支援を必要とする地域で暮らす母子家庭へのソーシャルワークにおける有用な実践モデルの生成を目的として,グレーザー派グラウンデッド・セオリー(Glaser 1978, 1998)の手法を用いて,実際に行われているソーシャルワーク実践の概念化を行った.この結果,【支援リゾームの形成】を母子家庭への支援においてソーシャルワーカーが行っており,背景として〔孤立する母子家庭〕,その要因として〔母親と支援システムの不調和〕,条件として〔同調と差異を軸とした母親との流動的な関係性の構築〕〔母親と子どもの対等な関係の構築〕〔差異を取り込んだ支援システムの構築〕,結果として〔母子家庭と関係機関による支援システムの自己組織化〕といった概念が抽出され,【支援リゾームの形成】を核としたこれらの概念が支援を必要とする地域で暮らす母子家庭へのソーシャルワークにおける有用な実践モデルとして生成された.</p>