著者
久富木原 玲
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.13-21, 1993

光源氏はなぜか斎宮との恋におちることはない。しかし斎宮の物語は単なる挿話ではなく、背後に伊勢神宮の磁力を巡らしつつ、源氏の王権物語をダイナミックに展開させていく。そしてその要の役割を果たすのが、斎宮の母としての六条御息所である。御息所を斎宮の母という観点から捉え、これを斎宮や巫女の歴史の中に位置付けてみると、源氏物語は、律令制からやらわれたかつてのヒメの自己回復の物語としての相貌を帯びてくる。
著者
久富木原 玲
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.1-15, 1991

神功、応神神話が八十島祭という即位儀礼をモデルとして成立したことは、すでに阪下圭八、倉塚曄子によって論じられた。阪下は神功皇后像が八十島祭における巫女と乳母の姿を複合したものだと説いたが、皇后と二人三脚の形で活躍する武内大臣もまた、この祭で重要な役割を演ずる宮主を投影する。八十島祭を平安期以降の創始とする説もあるが、神功皇后、武内大臣というこの神話の主人公達の造型という視点からすれば受容し難い。