著者
川地 康司 中村 陽一 尾崎 敏夫 亀井 俊彦 伴野 佳世 三木 聡 藤沢 謙次 安岡 劭 小倉 剛
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.1664-1671, 1992-12-30 (Released:2017-02-10)

近年, 気管支喘息の病態における好酸球の役割が明らかになりつつある. 好酸球の増殖, 寿命延長に関与するGM-CSFに注目し, 気管支喘息患者の末梢血単核球のGM-CSF産生能を検討した. 末梢血単核球培養上清中のGM-CSFは, 健常人 (n=6), 他疾患患者 (n=13) では, 測定限界以下であったが, 気管支喘息患者 (n=12) では, 無刺激で12人中3人, IL-2刺激で12人中5人で検出された. また, ステロイド使用の喘息患者 (n=6) では, IL-2刺激で, 6人中1人に低濃度のGM-CSFが検出されたのみであったが, 非使用中の喘息患者 (n=6) では6人中4人で比較的高濃度のGM-CSFが検出された. IL-2刺激下での単核球培養の際に, in vitroでプレドニゾロンを添加しても同様の結果が得られた. さらに, 気管支喘息患者の単核球培養上清中にみられた好酸球寿命延長活性は抗GM-CSF抗体処理により抑制された. 以上の成績より, 気管支喘息患者では, 単核球のGM-CSF産生能が増強しており, これは気管支喘息の病態に何らかの関与をするものと考えられた.
著者
亀井 俊彦 尾崎 敏夫 安岡 劭 小倉 剛
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.66-75, 1992-01-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
24

気管支喘息患者における好酸球増多の機序を解明するため, 気管支喘息患者の末梢血単核球 (MNC) 及びリンパ球からの好酸球コロニー刺激因子 (Eo-CSF) 産生を検討した. 特に, Eo-CSF産生における特異抗原刺激の役割, 及び, 産生されたEo-CSFの生物学的な解析を行った. その結果, 1) 気管支喘息患者MNC, T cellは, in vitro に於いて, PHA及びIL-2刺激により, Eo-CSFを産生した. 健常人では, PHA刺激ではEo-CSFを産生したが, IL-2刺激ではEo-CSFを産生しなかった. 2) 気管支喘息患者MNCは, 特異抗原刺激により, Eo-CSFを産生したが, 健常人MNCではこの産生は見られなかった. 3) IL-3, IL-5, GM-CSFに対する各抗体で気管支喘息患者単核球培養上清を処理することにより, Eo-CSF活性は低下した. 以上より, 気管支喘息患者の好酸球増多には, 特異抗原に対するリンパ球の反応性の亢進と, T cell から産生されるサイトカイン, 特にIL-5, GM-CSFが中心的な役割を果たすことが示唆された.