著者
流石 ゆり子 牛田 貴子 亀山 直子 鶴田 ゆかり
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.70-78, 2006-11-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究は,高齢者の終末期のケア-の取り組みの現状と課題を明らかにするため,Y県下の介護保険施設90か所に勤務する看護職者全数717名を対象にアンケート調査を行い,395名(老健149名,特養91名,療養型155名,有効回答率55.1%)の回答を得た.主な結果は以下のとおりである.看取りの体験事例数,および受け入れ可能な治療・処置は,療養型が最も多かった.また,看護職は,「傾眠状態が続く」「嚥下・経口摂取困難」および「不安定なバイタルサイン」などにより"終末期が近い"ことを察しており,特に医療職の設置比率の低い特養の看護職の実感している程度が高かった.さらに特養の看護職は,「他職種との連携調整」を強く意識していた.終末期ケアにおいては,「苦痛の緩和」が最も意識されており,今後強化し取り組みたい項目として「死別後の家族ケア」「家族の負担軽減」があげられた.これらは,ともに療養型が最も強く意識していた.看護職は,医療機関でのキャリアを有し高齢者ケアに熱意をもっていた.一方,現施設での経験年数は浅く,准看護師が半数以上を占め,看護職の絶対数が少ないことなどは終末期のケア取り組みに少なからず影響を及ぼしていると考えられる.
著者
牛田 貴子 流石 ゆり子 亀山 直子 鶴田 ゆかり 秋山 小枝子 藤原 三千代 植松 春美 須田 久美 西山 かおる 飯島 文子
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学看護学部紀要 (ISSN:18806783)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.9-15, 2006
被引用文献数
3

県内の介護療養型医療施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設で生括する高齢者の終末期における意思決定について、看護職の視点からその現状を明らかにする目的で、これら施設に勤務する看護職への郵送質問紙調査を実施した。その結果、以下が明らかになった。(1)回答者は全国の介護保険施設に勤務する看護職の属性と同様の傾向であった。(2)高齢者本人への終末期に関する希望確認を実施しているのは16.5%で、施設種類別に大差がなかった。(3)終末期の生活の場所の決定権は、高齢者本人が10.8%であった。(4)8割弱の看護職が意識的に話し合いに参加していたが、介護療養型医療施設では積極的に同席しない傾向にあった。これらから、高齢者の終末期における意思決定と権利擁護の判断や判断を支える科学的、倫理的な根拠に関して、介護保険施設の特殊性を考慮した継続教育が必要となることが示唆された。