著者
中村 亮一 五十嵐 辰男 川平 洋
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では,治療部位への精密誘導治療を行う「軟組織に対応したリアルタイムナビゲーション技術」と,外科的手技における組織臓器へのダメージを低減する革新的な内視鏡下手術「水中手術 “WaFLES”」の技術を統合的に研究開発し,「効用の最大化と副作用の最小化」を実現した次世代の超低侵襲精密外科医療技術を開発した.具体的には①術前CT画像と術中3D超音波画像の術中レジストレーション法の開発とナビゲーションへの実装,②内視鏡画像処理による臓器運動計測・補償を用いた精密レーザ照射システム,③治療工程分析技術による手術環境・技能評価法と臨床教育手法の開発を達成した.
著者
五十嵐 辰男 村上 信乃 富岡 進 阿部 功一 井坂 茂夫 岡野 達弛 島崎 淳松 嵜 理
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.1310-1315, 1989-09-20
被引用文献数
7 1

1978年1月より,1988年7月までに,千葉大学および旭中央病院泌尿器科で腎摘除術を施行した151例を集計した.偶然に発見された腎癌(「偶然発見癌」)は41例であり,受診動機としては他疾患治療中が28例,人間ドックが10例,集団検診3例であった.このうち,34例(82.9%)が超音波断層法で,4例がCTスキャンで,3例が排泄性腎盂造影で最初に発見された.「偶然発見癌」の腎癌全体に占める割合は,年次を経るにつれて有意に増加した(p<0.001).初診時または発見時,顕微鏡的血尿を認めたのは8例(19.5%)に過ぎず,スクリーニングとして検尿のみでは不十分で,超音波断層法も必要であると思われた.なんらかの症候を有する「症候癌」は102例,転移巣が最初に診断される「オカルト癌」は8例であった.「偶然発見癌」はこれらに比し有意にlow stage(p<0,001),low grade(p<0.001)であった.さらに,pT1〜2b,または長径10cm以下の症例において「偶然発見癌」の生存率は「症候癌」より良好であり(p<0.05),このような症例では腫瘍の早期発見による治療効果があったと思われた.