著者
江田 昭英 永井 博弌 渡辺 茂勝 団迫 裕 井上 吉郎 坂本 憲市 中神 啓仁
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.22, no.10, pp.640-648,659, 1973
被引用文献数
1

強力なhistidine decarboxylase阻害作用があるといわれる35-NZの抗アレルギー作用について検討し, 以下の成績をおさめた.1) 抗egg albuminウサギ血清を用いたモルモットのpassive systemic anaphylaxisは35-NZにより軽度抑制された.2) 感作モルモット肺切片からのアナフィラキシー性mediator遊離はin vitroで35-NZにより抑制されなかった.また, 反応惹起3時間前に35-NZを投与したモルモットの肺切片からのmediator遊離量は減少しなかったが, 反応惹起5日前から1日1回宛連続投与した場合には軽度減少した.3) 抗egg albuminウサギ血清を用いたモルモットのheterologous PCAは35-NZの反応惹起3時間前または5日前からの連続投与により抑制されなかった.4) 抗DNA-Asラット血清によるラットのhomologus PCAは35-NZの反応惹起3時間前後の投与により抑制されなかったが, 5日前からの連続投与では抑制された.5) 抗ラットウサギ血清によるラットのアレルギー性炎症は35-NZの反応惹起3時間前の投与により抑制されなかった.6) モルモットのp-phenylenediamineによる接触性皮膚炎は35-NZの反応惹起3時間前の投与により抑制された.7) 35-NZの抗アレルギー作用はhistidine decarboxylase阻害以外の機序によるものと思われる.