著者
井上 政義 入料孝一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.53, pp.39-44, 1996-05-25

音楽では、1つの音はそれ以前の音および次の音との関係で意味をもつ。そこで、ある時間間隔(数個の音符)におけるエントロピーを導入し、このエントロピーの時間変化から音楽を解析する。現に聞いている音(音符)を基準とし、この音との協和性で音にランクをつける。ランクは、同一音のランクを零とし、漸次その協和性の減少にともないランクの数を増大させる。音を解釈しているときに参考にされていると思われるそれ以前の数個の音符の平均ランク数よりこの時点でのエントロピーが求まる。音楽が進行するにつれ、エントロピーが変化していく。同一のエントロピー時系列をもつ異なる音楽から変奏曲が得られ、エントロピーの作図から作曲ができる。我々の解析から音楽の秘密は「カオスの縁のまわりの1/fゆらぎ」と思われる。A time series of entropy of music is introduced, and music is analyzed with the series. The entropy is calculated by an average rank number of several notes whose positions are located just before the present note. The rank number is defined by the degree of consonance between the present note and the considered note. Variations can be obtained with the use of the entropy series of the original music. We obtain the conjecture that the heart of music is thought to be 1/f fluctuation around the edge of chaos.
著者
井上 政義
出版者
鹿児島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

先に我々が開発したカオス振動子を素子に用いたニューラル・ネットワークのダイナミックスを当科研費で購入したワークステーションを用いて調べた。その結果、我々のネットワークはカオスを用いているのでそのエネルギー時系列は強い間欠性を示すことが分かった。これは従来のボルツマン・マシンと非常に異なるところでありこの性質によってカオス特有の優れた情報処理能力が得られる。我々のモデルとボルツマン・マシンの両方のエネルギー時系列を揺動スペクトル理論を用いて解析した。これにより、両者の違いを明瞭に示せた。また、コントロール・パラメータの値に依ってはエピレプシー(てんかん)に対応する運動を示すことを発見した。このとき得られた時系列は“てんかん"を起こしているときの脳波と類似している。このとき3種類の典型例があり、そのそれぞれに対応する脳波も実際に観測されていることが分かった。その3類は(1)周期的てんかん(2)カオス的てんかん(3)間欠的てんかん、である。さらに、エネルギー・レベルの幅より仮想的な体積な導入し、ニューラル・ネットワークの状態方程式を計算し、また自己組織化過程におけるエントロピーの減少も調べた。また、我々のモデルの学習能力を調べた。ボルツマン・マシン学習はアンニーリングの必要がなく高速に学習できることが分かった。また、バックプロゲーション学習は1周期の超安定運動を用いると極めて良く学習をすることを最近発見した。これらの研究につき他大学の研究者との交流が役にたち、シュミレーションの実行および資料整理は大学院生の協力を得た。