著者
宮城 正行 内田 健太郎 中脇 充章 川久保 歩 井上 玄 高相 晶士
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.878-882, 2020-06-20 (Released:2020-06-20)
参考文献数
19

椎間板は非特異的腰痛の一因となる.腰痛のほとんどは自然に改善するが,臨床上問題となるのは腰痛が慢性化する病態である.腰痛の慢性化の機序については,急性腰痛が遷延化した病態と,持続的にトリガーとなる損傷が繰り返し起こる病態の可能性がある.これらの病態に,椎間板内への神経伸長,椎間板内に発現する炎症性サイトカインや神経成長因子といった疼痛関連物質とその発現に関与するマクロファージ,椎間板に持続的に加わるメカニカルストレスが関与している可能性がある.
著者
大鳥 精司 山下 正臣 井上 玄 古志 貴和 山内 かづ代 伊藤 俊紀 鈴木 宗貴 渡辺 朋子 守屋 秀繁 高橋 和久
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.121-126, 2007 (Released:2008-01-22)
参考文献数
7

側方すべりを伴わない椎間板楔状化を伴う腰部脊柱管狭窄症に椎弓切除術群と固定術を併用した群の比較検討を行った.脊柱管狭窄症に対し連続して行った椎弓切除術群(13例)と,連続する固定術(12例)を対象とした.術式の選択は症状や画像評価によらず,初めの連続する13例は椎弓切除術のみ,後の連続する12例は固定術を選択した.症例はレントゲン単純仰臥位正面像にて1椎間の5°以上の椎間板楔状化がある症例で,側方すべり2 mm以内とした.術前,経過観察時の臨床成績,側方すべり(mm,正面像),左右屈にての可動角度(°,正面像)を評価した.結果,全症例の術後JOAスコアは23.2点と改善したが,固定術群の方が有意に改善していた.その理由として,成績不良例は椎弓切除群に3例認められ,側方すべり距離は術前0から術後2 mmに,左右屈にての椎間可動角度は術前平均12°から術後14.6°となっていた.術前,左右屈にての椎間可動角度が10°以上の症例で,成績不良であった.これら3例に関しては再固定術を追加し,良好な成績を得た.椎間板楔状化を伴う脊柱管狭窄症ではX線正面左右屈像において椎間可動角度が10°以上は成績が悪く,病態に,除圧術後の椎間板楔状化の悪化が神経症状を惹起していることが考えられた.
著者
森 芳徳 宮武 裕昭 久保 哲也 井上 玄己
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.I_77-I_87, 2016 (Released:2017-01-31)
参考文献数
9
被引用文献数
3

近年,大規模な土工構造物が地震等により甚大な被災を受ける場合がある.被災によって遮断された交通機能は早期に回復することが求められ,復旧には被災現場の状況に応じて交通機能を効率よく且つ迅速に回復できる工法の選定が必要とされる.現場の実態調査から,被災現場では大型土のうを用いた応急復旧の採用が多く見られる.大型土のうは現場の状況に柔軟に対応でき簡易的に復旧可能であることから多くの被災現場で採用されていると考えられる.しかし,従来の大型土のうは仮設構造物であるため,本復旧の際には撤去作業が必要となり,本復旧が完了するまでには時間を要する.被災した土工構造物を効率的に本復旧するためには,大型土のうを用いた応急復旧盛土をそのまま本復旧として活用することが有効であると考えられる. 本研究では,道路盛土災害事例から崩壊形態や現場の制約条件による復旧対策手法等について分析・整理するとともに,応急復旧として活用の多い大型土のうに着目した復旧モデルを考案し,大型土のうを用いた復旧盛土の本設構造物としての適用性について,動的遠心力載荷模型実験及び実大実験を実施し,変形挙動や施工性等を確認・検証した.