著者
宮崎 由樹 井上 葉子 益尾 建志
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.68-73, 2020-04-15 (Released:2021-06-23)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究の目的は,作業環境・作業後の休憩場所が作業者の精神的疲労感に及ぼす影響を検討することであった.実験の被験者は,まず屋内あるいは屋上いずれかの実験環境で負荷課題(文章の書き写し)を行った.精神的疲労感は課題の前後で心理尺度(Profile of Mood States-2nd Edition)を用いて測った.被験者は,屋内ないし屋上で5分間の休憩を取得した後で,先ほどとは異なる,もう一方の実験環境で同一の負荷課題を行った.実験の結果,負荷課題前にくらべた負荷課題後の精神的疲労感の上昇の程度は屋内でも屋上でも変わらなかった.一方,5分間の休憩を取得することによる疲労感低減効果は,屋内にくらべて屋上の方が大きかった.これらの結果は,屋内にくらべて,作業後の休憩を屋上で取得することは疲労感解消に効果的であることを示唆する.
著者
井上 葉子
出版者
消費者金融サービス研究学会
雑誌
消費者金融サービス研究学会年報 (ISSN:13493965)
巻号頁・発行日
no.8, pp.57-66, 2007

本研究の目的は、中国におけるサードパーティー・オンラインペイメントの現状を分析することにより、同市場の将来性と課題を明らかにすることである。研究対象とする主体は、オンラインペイメントの決済業務を主たる事業とするノンバンクのサードパーティー・オンラインペイメント企業とし、対象とする市場は個人ユーザーと一部のネットショップで構成されるC2C市場である。研究方法としては、中国の官庁、民間のシンクタンクの調査データの分析ならびに中国におけるサードパーティー・オンラインペイメント企業最大手の支付宝へのインタビューを行なった。サードパーティー・オンラインペイメントに対する利用者の反応や企業の戦略は国や文化によって異なり、それが市場規模にも反映している。現在、中国ではアメリカのPaypal社のビジネスモデルに基づいたエスクロー方式が主流である。2008年には国家政策も始動するが、はたして外国のビジネスモデルが中国で定着するのか、それにはどのような条件が必要なのか、という視点から論を進める。本研究の調査にあたり、2001年度消費者金融サービス研究振興協会から研究助成を受けたことに深く感謝する。
著者
平尾 和子 三星 沙織 井上 葉子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成22年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.164, 2010 (Released:2010-08-27)

[目的] 米粉を用いた揚げ衣の吸油量を求める基礎研究として,異なる加水倍率で天ぷら衣を調製後油揚げし,衣の重量変化および鍋内の残油量から吸油量を数量化するモデル実験を試みた。官能評価は米粉及び小麦粉で調製した揚げ衣の食味特性と嗜好について行った。 [方法] 米粉(2007年茨城県産コシヒカリ,ロール法粉砕,(株)波里)あるいは小麦粉(薄力粉フラワー,日清製粉(株))に蒸留水(以後,水とする)または卵液(水温15±1℃)を粉重量の1.6~2.4倍加えて衣(以後,バッターとする)を調製した。卵液は全卵(市販品,約52g)を濾した後,重量に対して3倍量の水を加えて混合した。バッターの物性測定はクリープメーター(RE2-3305B,(株)山電)で行った。バッターをクッキングシートに約4g平らに乗せ,大豆・なたね混合油((株)J-オイルミルズ製)を用いて170±2℃で2分間揚げた後網上で5分間油切りし,揚げ衣の重量を測定した。鍋内の残油量はバッターを約10個揚げた毎に測定した。官能評価は色,厚さ,硬さ,サクサク感,味,油っぽさ等の項目を食味特性と嗜好について7段階評価法により行った。パネルは本学学生および教職員30名とした。 [結果] バッターの硬さおよび付着性は,米粉・小麦粉ともに加水量が多くなるに従って減少し,同じ加水量では米粉バッターは小麦粉に比べて硬さおよび付着性がともに大となった。揚げ衣の重量減少量は米粉の方が小麦粉よりも大であった。また米粉の残油量は小麦粉に比べて多かったことから,米粉衣の吸油量は小麦粉衣に比べて少ないと推測された。官能評価では米粉衣は水,卵液のいずれも油っぽさがないと評価され,この項目で好まれた。以上のことから,米粉衣は吸油量が少なく,油っぽさの少ない衣であると考えられた。