著者
井口 靖 恒川 元行 成田 克史 黒田 廉
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

文を理解するために聞き手は出現する語彙の予測を行っていると想定する。そのひとつはある語からそれ以降の語を予測する場合で,これについてはコーパスを用いてさまざまなコロケーションを調査した。もうひとつは語彙の出現そのものの予測で,それはテキストの種類,分野などから予測できるのではないかと仮定した。そこで,分野別コーパスを構築し,その語彙頻度を大規模コーパスと比較することによりいくつかの実例を提示した。これらの結果を独和,和独辞典や教材に反映することを試みた。
著者
松田 清 鳥井 祐美子 井口 靖 河崎 靖 クレインス フレデリック
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

江戸時代舶載蘭書目録の作成と関連資料の書誌的研究を第一の目的とする本研究は、前年度に引き続き内外各地で書誌調査を行い、とりわけ佐賀藩および小城藩関係資料の研究を重点的に進めた。また、鳥井裕美子は松田清と共に、総括班による武雄鍋島家「長崎方控」の校訂注釈作業に中心メンバーとして参加した。その成果として、松田は佐賀大学小城文庫所蔵の蘭文写本「人工体普録」がオズー製1857年型人体解剖模型「キュンストレーキ」の仏文解説書の蘭訳筆写本であることを突き止め、筆者を小藩の相良柳逸、訳者をマンスフェルトと推定した。また、幕末佐賀蘭学の根本資料である佐賀鍋島家「洋書目録」(文久2年まで洋書の出納簿を兼ねた)について、目録本文の翻刻、記載洋書の原書同定、長崎奉行所に提出された輸入蘭書「銘書帳」との照合結果、さらにオランダ王立兵学校用教科書目録との関連を盛り込んだ復元目録を編集刊行した。クレインスは江戸時代舶載蘭書の内、解剖・生理学書の書誌的、翻訳論的研究をまとめ、17〜18世紀のヨーロッパで主流となった機械論的身体観の受容が東洋の伝統的身体観の枠内で行われたことを指摘した。松田、クレインスは幕末萩藩旧蔵蘭書や蘭学の背景となった西洋本草医科学書を多数収蔵する杏雨書屋の洋書について数年来の詳細な書誌調査をまとめ、その成果を目録として刊行した。前年度までに刊行した『宮城県図書館伊達文庫蘭書目録』『佐賀藩旧蔵洋書目録』と合わせて、江戸時代舶載蘭書目録の基礎作業はほぼ達成できた。初年度(平成14年度)に着手したハルマ辞書訳語集成についてはハルマ蘭仏辞書の電子版作成にとどまった。