著者
鈴木 浩明 藤浪 浩平 大野 央人 水上 直樹 末田 統 井手 将文
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.191-198, 2001-08-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 4

模擬空間に誘導用ブロックを敷設して視覚障害者の歩行特性の把握実験を計画する際の基礎データを得るために, 日常的な空間における視覚障害者の歩行特性の把握を目的とした調査を実施した. 被験者は徳島県立盲学校の生徒 (職業訓練課程の成人を含む), 教員46名であり, 被験者が誘導用ブロックに沿って歩行した際の歩幅と歩行速度を測定した. 調査は盲学校内の屋外通路と最寄り駅のプラットホーム上の2箇所で実施した. 調査結果から, 被験者の身長, 視覚障害の程度 (全盲, 弱視), 歩行環境の違い (本調査では校内, 駅で定義) が, 歩幅や歩行速度に有意な影響を及ぼすことを明らかにした. また, 回帰分析法を用いてこれらの要因の違いを考慮した歩幅・歩行速度の予測式を作成するとともに, 全盲者の歩行特性の予測には歩幅を用いる方が歩行速度より望ましい (回帰係数=0.86) ことを明らかにした.