著者
斎藤 綾乃 鈴木 浩明 藤浪 浩平 村越 暁子 松岡 茂樹 平井 俊江 斉藤 和彦 西垣 昌司
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.231-240, 2008-08-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
21
被引用文献数
2 3

列車の振動環境下における適切な縦手すりと吊り手の径を検討した. 79名の被験者を, 59歳以下 (非高齢群) と60歳以上 (高齢群) に分けた. 縦手すりの径5水準, 滑り止め加工3種類, 吊り手の径6水準を評価した. 縦手すりの使いやすい径はステンレス (SUS) では28~38mm程度であり, 滑り止め加工の場合は40mmも使いやすいと評価された. 使いやすい径は, 年齢による大きな違いはみられず, 手のサイズ (握り内径) による違いがみられた. 吊り手の使いやすい径は18~29mm程度で25mmが最良であり, 縦手すりより細かった.
著者
土屋 隆司 杉山 陽一 山内 香奈 藤浪 浩平 有澤理一郎 中川 剛志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.868-880, 2008-02-15
被引用文献数
1

列車運行に支障が生じた場合には,利用者に的確な案内情報を迅速に提供することが求められる.我々は,ダイヤ乱れ時における各目的駅までの推定所要時間に基づいて各駅別に迂回の適否(運転再開を待つべきか,目的地への迂回経路をとるべきか)を判定し,利用者に案内するシステムを開発した.システムの開発にあたり,輸送障害が発生した線区における駅間所要時分の変化を見積もるモデルを考案し,これをダイヤ乱れ時の最短経路計算に応用した.また,システムの開発と並行して実施したダイヤ乱れ時における利用者行動調査の結果に基づいて,システムの要件やその運用のあり方を整理した.開発したシステムを用いて,実際のダイヤ乱れ時において,一般利用者を対象とした実証実験を実施した結果,提示された案内情報に従って移動した利用者の約65%が案内どおり,または案内よりも早めに目的地に到着することができた.システムの有用性については総じて高い評価が得られた.また,不確実性を含む予測情報であっても一定の確度があれば利用者に十分受容されることも確認した.When train operations are disrupted, it is important to provide passengers with information facilitating the rest of their journey. We developed a guidance system for users to determine whether they should wait for service to resume on the disrupted line, or take a detour route to their destination. Our system arrives at decisions after computing estimated travel times to specific stations in the area where train services are disrupted. We devised a model for estimating the amount of time required to travel between stations in the disrupted area. We have carried out a field test in which users use their cell phones to access the system and learn their route options during a disruption in train services. The result of the test has revealed that this system is effective 窶髏 for example, we have found that approximately 65% of all users taking the advice arrive at their destination at the same time as, or earlier than, the time estimated by the system and approximately 80% of them evaluated the system as useful. We conclude that even though the information represents only possible scenarios, and the degree of certainty is not 100%, it can be accepted and effectively utilized by passengers.
著者
斎藤 綾乃 鈴木 浩明 白戸 宏明 藤浪 浩平 遠藤 広晴 松岡 茂樹 平井 俊江 斎藤 和彦
出版者
Japan Human Factors and Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.9-21, 2006-02-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
19
被引用文献数
4 3

振動環境下で通勤近郊列車の支持具の使いやすさを検討した. 列車の走行振動を模擬できるシミュレータ内に, 車内設備を取り付け, 幅広い身長の利用者に, 様々な寸法のつり革や手すりを評価させた. つり革全体の長さは275mm, 375mm, 475mmの3水準, 床からのつり革高さは靴を履いた身長に対する比 (以降, 身長比) 80~120%まで5%間隔とした. つり革長さ275mmの場合, 身長比99%が最適であり, 90~105%が推奨範囲であった. つり革が長くなると推奨範囲が狭まった. 推奨範囲外となる人の割合を最少にする観点から, いくつかの推奨値の組合せを提案した. 手すりについては, 座面前縁から150mmの距離をとったものが, 現行 (座面前縁からの距離0mm) と比較して, 姿勢維持の有効性や立ち上がりやすさが向上することを確認した. 乗降性は悪化しなかった.
著者
鈴木 浩明 藤浪 浩平 大野 央人 水上 直樹 末田 統 井手 将文
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.191-198, 2001-08-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 4

模擬空間に誘導用ブロックを敷設して視覚障害者の歩行特性の把握実験を計画する際の基礎データを得るために, 日常的な空間における視覚障害者の歩行特性の把握を目的とした調査を実施した. 被験者は徳島県立盲学校の生徒 (職業訓練課程の成人を含む), 教員46名であり, 被験者が誘導用ブロックに沿って歩行した際の歩幅と歩行速度を測定した. 調査は盲学校内の屋外通路と最寄り駅のプラットホーム上の2箇所で実施した. 調査結果から, 被験者の身長, 視覚障害の程度 (全盲, 弱視), 歩行環境の違い (本調査では校内, 駅で定義) が, 歩幅や歩行速度に有意な影響を及ぼすことを明らかにした. また, 回帰分析法を用いてこれらの要因の違いを考慮した歩幅・歩行速度の予測式を作成するとともに, 全盲者の歩行特性の予測には歩幅を用いる方が歩行速度より望ましい (回帰係数=0.86) ことを明らかにした.
著者
斎藤 綾乃 鈴木 浩明 白戸 宏明 藤浪 浩平 村越 暁子 松岡 茂樹 平井 俊江 斉藤 和彦
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.71-80, 2007-04-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

ベビーカー利用者との共用を視野に入れた車いすスペースの手すり寸法を検討した. 列車の走行振動を模擬できるシミュレータ内に設備を設置し, 振動環境下で, ベビーカー利用者46名, 一般乗客67名の評価を得た. その結果, 高さ800mmの従来の手すりより, 950mmと700mmの2本を設置するほうが, 姿勢を支える, 軽く腰掛けるという観点から使いやすいことが明らかになった. ベビーカー利用者の76.1%がベビーカー用のスペースとして従来スペースよりよいと評価した.