著者
明石 祐作 鈴木 広道 竹内 優都 上田 淳夫 廣瀬 由美 今井 博則 石川 博一
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.9-16, 2021-01-20 (Released:2021-08-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1

日本ではインフルエンザの診断に,迅速抗原検査が広く用いられている.しかし,40~50% で偽陰性が見られるとされ,正確に結果を解釈するためには,検査性能に影響する要因を把握する必要がある.今回,インフルエンザ様症状(37℃以上の体温上昇,寒気・体熱感,咳,喀痰,倦怠感,咽頭痛,筋肉痛・関節痛,頭痛,鼻汁・鼻閉のいずれか)の発症から検査までの時間経過により,インフルエンザ迅速抗原検査の感度・特異度が異なるか,単施設前向き研究で調査した.当施設がある地域のインフルエンザ流行期間に(2017年12月~2018年2月および2018年12月~2019年3月),臨床的にインフルエンザの疑いがあり,担当医がインフルエンザ迅速抗原検査を必要と判断した患者を対象とした.基準検査法はリアルタイムPCR法とした.期間中の累計322名(2017年度:159名,2018年度:163名)のうち,313名を最終対象者とした.リアルタイムPCR法を用い129名(41.2%)でインフルエンザウイルスを検出した(A型:88名,28.1%;B型:41名,13.1%).インフルエンザ迅速抗原検査の感度は,全体で54.3%(95% 信頼区間(CI):45.3~63.1),特異度は100%(95%CI:98.0~100)だった.感度はインフルエンザ様症状の発症からインフルエンザ迅速抗原検査までの時間の経過により有意な上昇を示した(p=0.03):12時間未満,38.9%(95% CI:17.3~64.3);12~24時間,40.5%(95% CI:25.6~56.7);24~48時間,65.2%(95% CI:49.8~78.6);48時間以降,69.6% (95% CI:47.1~86.8).本検討より,インフルエンザ迅速抗原検査の感度は,インフルエンザ様症状の発症から時間が経過するに連れて上昇する可能性が示された.
著者
一戸 美佳 市川 邦男 今井 博則 松井 陽
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.530-535, 2003-12-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
19

テオフィリン徐放製剤 (テオドールドライシロップ®) の至適投与量の検討を行った. 6か月~12歳 (中央値4.5歳) の気管支喘息児150名を対象に, 1週間以上の内服を確認した後, 内服3~5時間後のテオフィリン血中濃度を測定した. その結果, 6か月~1歳未満では投与量8mg/kg/日以下でも血中濃度10μg/ml以上となった症例がみられることから, 初期投与量はより少量とする配慮が必要である. 1歳児では投与量が11mg/kg/日以下であれば目標血中濃度域5~10μg/mlを越える症例は認められず, ガイドライン通り8~10mg/kg/日での開始は妥当である. 2歳以上の喘息児では10mg/kg/日から投与を開始し, 血中濃度を測定しながら適宜増量する必要がある. またC/D比 (血中濃度/投与量) は1歳未満の乳児では他の年齢群よりも高く, そのばらつきも大きかった. 以上からテオフィリン徐放製剤は, 年齢を考慮したきめ細かい投与が必要と考えた.