著者
流郷 昌裕 今川 弘 高野 信二 塩崎 隆博 渡部 祐司 河内 寛治
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.424-427, 2007-02-25 (Released:2008-08-08)
参考文献数
13
被引用文献数
1

症例は73歳, 男性. 急性胆嚢炎および血小板減少にて当院に紹介入院となった. 血小板減少について精査の結果, 特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) と診断され, 副腎皮質ステロイドやγ-グロブリンの投与, H.pyloriの除菌を行うも効果は少なかった. また入院後より労作時胸痛を認め, 心筋シンチにて中隔領域に虚血所見を認めたため, 冠動脈造影を行ったところ3枝病変を指摘された. この症例に対し, 術中血小板輸血を併用し, 心拍動下冠動脈バイパス術 (OPCAB), 胆嚢摘出術および脾臓摘出術を一期的に施行した. 術後, 出血合併症なく経過良好にて, 術後29日目に転院した. ITP, 胆嚢炎を合併した虚血性心疾患に対して一期的に手術を施行した症例はわれわれの調べ得た限りでは本邦初と思われるので, 若干の文献的考察を加え報告する.
著者
今川 弘 滝野 慶則 清水 正夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.138-144, 1976-03-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
8
被引用文献数
2 4

(1) 紅茶製造中における核酸成分の変化に関与する核酸分解酵素系を検討するために,茶葉から調製した粗酵素をDEAE-セルロースカラムで分別し,主要画分についてRNAの分解作用を調べ, 5′-ヌクレオチドを生成するエンドヌクレアーゼと2′,3′-環状ヌクレオチドを生ずるRNaseの存在を認めた。(2) RNase含有画分をセファデックスカラムで分別し, PMase, PDase両活性を含まないRNaseを得た。本酵素は至適pH5.5で熱安定性が高く, RNAを分解して2′,3′-環状ヌクレオチドとオリゴヌクレオチドを生じ,その際G>pの生成が最も顕著であった。また環状ヌクレチドを3′-ヌクレオチドに加水分解するが,その速度は非常におそい。これらの結果から,紅茶に含まれている2′-および3′-ヌクレオチドは茶葉RNAからRNaseの作用によって生じた2′,3′-環状ヌクレオチドが母体となり,これらがRNase, PDaseの作用および非酵素的分解をうけて生成したものと考えられる