著者
流郷 昌裕 今川 弘 高野 信二 塩崎 隆博 渡部 祐司 河内 寛治
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.424-427, 2007-02-25 (Released:2008-08-08)
参考文献数
13
被引用文献数
1

症例は73歳, 男性. 急性胆嚢炎および血小板減少にて当院に紹介入院となった. 血小板減少について精査の結果, 特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) と診断され, 副腎皮質ステロイドやγ-グロブリンの投与, H.pyloriの除菌を行うも効果は少なかった. また入院後より労作時胸痛を認め, 心筋シンチにて中隔領域に虚血所見を認めたため, 冠動脈造影を行ったところ3枝病変を指摘された. この症例に対し, 術中血小板輸血を併用し, 心拍動下冠動脈バイパス術 (OPCAB), 胆嚢摘出術および脾臓摘出術を一期的に施行した. 術後, 出血合併症なく経過良好にて, 術後29日目に転院した. ITP, 胆嚢炎を合併した虚血性心疾患に対して一期的に手術を施行した症例はわれわれの調べ得た限りでは本邦初と思われるので, 若干の文献的考察を加え報告する.
著者
河内 寛治 中田 達広 浜田 良宏 高野 信二 角岡 信男 中村 喜次 堀内 淳 宮内 勝敏 渡部 祐司
出版者
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.344-346, 2002-09-15
被引用文献数
1

上行大動脈がporcelain aortaを呈したAVR,CABG,腹部大動脈瘤手術の心臓・大血管系の3同時手術を施行した.73歳女性で,左室-大動脈圧較差60mmHgを示し,RCAの4A-V枝に90%の狭窄を認めた.大動脈弁および上行大動脈の著しい石灰化を認め,腹部に5cmの壁在血栓を伴うAAAを認めた.手術はAVR,CABG,AAAの3同時手術を施行した.CABGのグラフトは大動脈での吻合のない右胃大網動脈を用いた.送血管は上行大動脈より行い,右房脱血にて体外循環を開始した.石灰化のない大動脈より心筋保護(CP)液を注入,大動脈遮断して,AVR施行した.冠動脈入口部の石灰化のために,選択的にCP液を注入することは難しく,大動脈切開部の石灰を除去し縫合閉鎖してから大動脈より注入した.ついでRGEAとRCAの吻合を行い,大動脈遮断解除し体外循環を終了し,AAAの人工血管置換術を行った.翌日抜管でき,現在NYHA1度で経過している.