著者
今町 憲貴
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.843-845, 2020 (Released:2020-09-01)
参考文献数
22

最近の基礎研究により脊髄レベルでの痒みの機序やその制御についての知見が明らかとなってきた。また、オピオイドによる痒みの機序の一部がガストリン放出ペプチド受容体を介することにより生じることも解明されてきた。臨床においてオピオイドよる痒みは頻度の高い副作用であるが、現状では予防や治療に関するガイドラインがない状態である。本稿では、オピオイドによる痒みの機序、及びさまざまな薬物による鎮痒効果に関する臨床研究について概説する。
著者
今町 憲貴
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.322-329, 2018-05-15 (Released:2018-06-23)

痒みは掻きたいという欲望を生じる感覚である.痒みにはヒスタミン受容体を介するものだけではなく,プロテイナーゼ活性化受容体やMas関連G蛋白質共役受容体を介する非ヒスタミン依存性の痒みが存在する.オピオイドにより生じる痒みは麻酔科医にとって最も身近な痒みであろう.残念ながらオピオイドによる痒みは発生率が高いにもかかわらず,標準的な治療や予防法がないのが現状である.最近,オピオイドによる痒みの機序の一部がガストリン放出ペプチド受容体を介することにより生じることが明らかとなってきた.さまざまな薬剤を用いたオピオイドによる痒みに対する臨床研究が行われており,今後の痒みの研究が発展することを期待したい.