著者
仲地 豊 金沢 徹文
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

当該年度は主として、このかんにリファレンス情報となる各種データおよび全ゲノム解析ツールのアップデートがあったためこれらへの対応と、全ゲノムシーケンス後の2次解析環境の整備をおこなった。全ゲノム解析に必要な参照ゲノム配列を最新のhg38/GRCh38およびJRGv2に、また解析ツールをGATK3/4系にアップデートし、日本人変異データベースに3.5KJPNを採用するなど、解析環境の再構築と検証をおこない、また既存サンプルを用いた再解析もおこなった。これまで既報の変異・多型は遺伝子間領域やイントロン領域でおおく報告されており、全エクソーム解析では同定がむずかしかったが、全ゲノム解析によってこれらの解析・検証が可能なことを確認した。既存論文でみられていた変異・多型が日本人当事者では同定されなかったことから、人類集団間での差異の存在が示唆された。配列解析などから遺伝子上の多型・変異だけでなく、性ステロイドホルモン受容体の認識配列や他転写調節因子の認識配列上にみられる多型・変異についても考察をおこなった。今後は当事者ゲノムの解析に加えて、モデル動物などを利用して脳の性分化時期に機能する遺伝子群の情報を拡充する必要がある。一部の進捗については2017年度生命科学系学会合同年次大会(ConBio2017)にてポスター発表(2017年12月6日、神戸、1P-1186)、およびGID(性同一性障害)学会第20回研究大会にて口頭発表(2018年3月24日、東京、一般演題2-6)をおこなった。
著者
仲地 豊 金沢 徹文 康 純 岡崎 康司
出版者
埼玉医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題は性同一性障害(GID)当事者ゲノムの全遺伝子のうち、エクソン領域を対象とした全エクソーム解析による研究計画であった。しかし海外の研究グループから性同一性障害と関連が示唆されるエクソン領域以外の多型が報告された。当初予定していた全エクソーム解析ではエクソン領域近傍100bp程度の範囲までしか変異・多型を検出することができないため、手法を当初の計画から変更し全ゲノム解析に移行して再解析をする必要があった。予備解析でイントロン領域や遺伝子間領域にみられる反復配列多型の検出も全ゲノム解析で十分可能であったため、手法を変更して10例のGID当事者サンプルについて全ゲノム解析をおこなった。