著者
下郡 剛 川満 和 仲村 真
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構沖縄工業高等専門学校
雑誌
沖縄工業高等専門学校紀要 (ISSN:24352136)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.27-69, 2023-06-29 (Released:2023-09-29)

前田高地での日米の戦闘は沖縄戦下屈指の激戦とされ、2017年映画『ハクソー・リッジ』公開後、休日の浦添城跡は、日本人・アメリカ人問わず、多くの人が訪れる場所になっている。しかしながら前稿(1)で指摘したように、日本兵が呼ぶ「前田高地」は前田集落北側高地のみを指し、浦添城跡の大部分はこれに含まれない。前田高地陣地壕群は、頂上部・中腹部・麓部の3つに分類でき、前稿では麓部の壕について検討した。東から順に、缶詰壕、兵員壕、乾パン壕である。 本稿では、高地中腹部と頂上部の陣地壕群について検討する。本来、中腹部と頂上部は分けて検討するのが望ましいのだが、頂上部に壕がひとつしかないため、併せて検討してゆきたい。まず中腹部の壕からである。
著者
仲村 真里奈
出版者
公立大学法人 国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域
雑誌
国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域実習報告論文集 (ISSN:21853983)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.95-116, 2015

本稿は日本語教育実習を通して課題となった訂正フィードバックを,アップテイクという学習者の反応の視点から考察し,効果的な訂正フィードバックを学習者に与えることを主眼としたアクションリサーチである。筆者は秋実習と冬実習での授業を通して,自分自身の訂正フィードバックの有効性に疑問を感じた。そこで春実習では訂正フィードバックを積極的に与えることを心がけ,その結果をアップテイクという立場から分析した。その結果,訂正フィードバックとして誘導を行った場合,学習者が最も多く自己訂正をすることが分かった。それに対し,訂正フィードバックとしてリキャストを行った場合,学習者のエラーは訂正されることが少なかった。さらにリキャストの後に,学習者が反応を示さない場合も多かった。また筆者の訂正フィードバックに作用する要因は,筆者の精神的・時間的余裕の有無だということが明らかになった。筆者は精神的・時間的余裕がない場合に焦りを覚え,訂正フィードバックをしている間エラーを起こした学習者以外の学習者が「暇」になっているのではないかと考えていた。そこで時間短縮を図る目的でリキャストなどの訂正フィードバックを行い,結果としてニーズリペアやアップテイクなしにつながっていることが判明した。筆者は春実習を終えて,訂正フィードバックはエラーを起こした学習者のみのものではなく,学習者全体での学びとして共有されるべきものだと考えるようになった。