著者
仲道 隆史 伊藤 毅志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.167-170, 2014-10-31

将棋AIの実力はプロ棋士に肉薄しておりアマチュアプレイヤにとって十分強くなっている一方で,近年ではゲーム熟達の支援やより楽しませるAIなど,強さ以上に楽しさが求められている.対局の楽しさを損なう要素としてAIの不自然さが注目されているが,自分より棋力の低いプレイヤの指し手に不自然さを感じやすい可能性が指摘されている.本研究ではAIの強さの主観評価と知覚する不自然さの関係を対局実験から分析したのち,棋力を調整した上で課題となる不自然さについて議論を行う.
著者
仲道 隆史 伊藤 毅志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回 (2014)
巻号頁・発行日
pp.1E5OS23b5i, 2014 (Released:2018-07-30)

現状の将棋AIの実力はプロ棋士に肉薄しているが,実力差の大きいエージェントの指し手は理解が困難でエージェンシーの認知を妨げることや対戦相手の実力が対等な時に楽しいと感じやすいことが指摘されている.本研究では局面の評価値を0に近づける着手を選ぶことでユーザの棋力に合わせる接待将棋AIを作成し,エージェンシーと対局の満足感に対する主観評価によって,インタラクティブエージェントとしての妥当性を検討した.
著者
仲道 隆史
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2015-03-25

思考ゲームの研究では強い AI を作ることを目的とした研究が主流であったが,様々なゲームでトッププレイヤを上回るパフォーマンスを示すようになってきて,対戦して楽しいという方向性のゲーム AI の研究が注目されている.これらの研究では人間から見たゲーム AI の不自然さの解消を課題とし,人間的な振る舞いをゲーム AI に実装することが試みられている. 本論文では思考ゲームの将棋を題材に不自然さの原因について考察し,観測者の棋力によって不自然に感じる手が変化することを棋譜の評価実験から示した.この結果から,不自然さの知覚は棋力の差によって生じるのではないかという仮説を立て,「ユーザと同程度の悪手を指す」「勝敗の確定が遅いシーソーゲームを演出する」という二つを実現する将棋AI の作成を行い,この AI を多くのプレイヤに利用し,評価してもらうことでこの仮説の検証を試みた. 実装した将棋 AI は,現局面の候補手の中から最も評価値が 0 に近い手を着手として選択するアルゴリズムを採用した.形勢が均衡している評価値 0 の状態を継続する事で悪手を咎めず拮抗した勝負が続くことを目指した.AI 同士の自己対戦実験によって提案手法導入前後での AI の振る舞いを比較した結果,本来は勝率 99%を上回る弱い AI に対して勝率を5 割程度に抑えられたこと,互いに悪手を指しあうなどの評価値の乱高下が観測され,2 つの目標に有効なアルゴリズムであることを確認した. また,この将棋 AI をインターネット対局場の bot として公開し,自由に対局してもらい,アンケートによる評価を行った.対局結果からレーティング 1200 以上の対局相手に対して勝率 5 割以上の成績を残すことができており,アンケートの主観評価から負け越したユーザであってもシーソーゲームが演出できていること,同程度の棋力と感じていれば楽しいと評価していることが確認された. しかし,一方で不自然さの抑制という点では新たな課題も見つかった.ユーザが自分の能力において本来指さない悪手をヒューマンエラーによって指した場合に,着手した直後に自分のその手を悪手だと気付く.このとき,これを咎めない将棋 AI の振る舞いが「必然手を指さない」不自然さとして回答されていた.この不自然さを解消するには,その着手がヒューマンエラーであるか判定して咎めるかを決定することや,咎めない着手の中でヒューマンエラーと感じさせる手を選ぶなど,将棋 AI にヒューマンエラーを生成・判定させる取り組みが必要になる.
著者
仲道 隆史 伊藤 毅志
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

現状の将棋AIの実力はプロ棋士に肉薄しているが,実力差の大きいエージェントの指し手は理解が困難でエージェンシーの認知を妨げることや対戦相手の実力が対等な時に楽しいと感じやすいことが指摘されている.本研究では局面の評価値を0に近づける着手を選ぶことでユーザの棋力に合わせる接待将棋AIを作成し,エージェンシーと対局の満足感に対する主観評価によって,インタラクティブエージェントとしての妥当性を検討した.