著者
八木 康道 伊井 徹
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.1341-1344, 2013-12-31 (Released:2014-07-02)
参考文献数
16

症例は74歳,男性。右下腹部痛を主訴に当院を受診した。右下腹部に限局して腹膜刺激症状を認めた。腹部CTにて回腸に約1cmの高吸収の線状陰影と周囲の脂肪濃度上昇を認めた。腹水やfree airは認められず,魚骨による小腸穿通および限局性腹膜炎と診断した。絶食と抗生物質による保存的治療を行った。腹痛および腹部所見の改善を認め,入院後第5病日のCTで魚骨が上行結腸へ移動したことを確認し経口摂取開始となった。第11病日のCTでは魚骨は体内には確認されず,体外に排出されたと考えられ退院となった。魚骨による小腸穿通には,保存的治療が奏効し魚骨が体外に排出される症例も存在し,その診断や経時的な経過観察においてCTが非常に有用であった。
著者
福島 亘 八木 雅夫 坂本 浩也 伊井 徹 清水 康一 米村 豊 泉 良平 三輪 晃一 宮崎 逸夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.2185-2188, 1993-08-01
被引用文献数
7

症例は64歳の男性で, 昭和56年8月に胸部中下部食道癌 (A_0 N_0 M_0 Pl_0, Stage I) にて右開胸開腹胸腹部食道全摘術および胸骨後経路頸部食道形成胃管吻合術を受けた. 切除標本の病理組織診断は低分化型扁平上皮癌, 深達度 ep, n(-) であった. 術後10年目に嘔気と嘔吐を認めたため内視鏡検査を施行したところ, 門歯列より 26cm の再建胃管内に径 2.0cm の山田 III 型ポリープを認めた. 生検結果は中分化型腺癌であった. 超音波内視鏡検査で深達度 m と診断されたため, 内視鏡的ポリペクトミーを施行した. 切除ポリープは病理組織学的に乳頭状腺癌, 深達度 m で断端における癌の浸潤も認めなかったため治癒切除と診断された. 食道早期癌術後の再建胃管に発生した早期胃癌の本邦報告例は, これまでに自験例を含め3例のみときわめてまれであったが, 再建胃管癌46例の本邦報告例の検討からは, 早期発見のため術後の再建胃管の定期的な検索が必要であると思われた.