著者
福島 亘 八木 雅夫 坂本 浩也 伊井 徹 清水 康一 米村 豊 泉 良平 三輪 晃一 宮崎 逸夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.2185-2188, 1993-08-01
被引用文献数
7

症例は64歳の男性で, 昭和56年8月に胸部中下部食道癌 (A_0 N_0 M_0 Pl_0, Stage I) にて右開胸開腹胸腹部食道全摘術および胸骨後経路頸部食道形成胃管吻合術を受けた. 切除標本の病理組織診断は低分化型扁平上皮癌, 深達度 ep, n(-) であった. 術後10年目に嘔気と嘔吐を認めたため内視鏡検査を施行したところ, 門歯列より 26cm の再建胃管内に径 2.0cm の山田 III 型ポリープを認めた. 生検結果は中分化型腺癌であった. 超音波内視鏡検査で深達度 m と診断されたため, 内視鏡的ポリペクトミーを施行した. 切除ポリープは病理組織学的に乳頭状腺癌, 深達度 m で断端における癌の浸潤も認めなかったため治癒切除と診断された. 食道早期癌術後の再建胃管に発生した早期胃癌の本邦報告例は, これまでに自験例を含め3例のみときわめてまれであったが, 再建胃管癌46例の本邦報告例の検討からは, 早期発見のため術後の再建胃管の定期的な検索が必要であると思われた.
著者
高村 博之 永井 昇 長谷部 健 浦出 雅昭 今井 美和 八木 雅夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.668-672, 2002-06-01
被引用文献数
12

今回,我々は消化管出血を契機に狭義のgastrointestinal stromal tumor(GIST)の多発が診断されたvon Recklinghausen病の1例を経験したので報告した.症例は46歳の男性.腹痛を伴う下血を主訴に近医より当科転院となり,精査の結果,空腸と回腸に多発するhypervascular tumorの存在が確認されたため開腹手術を行った.空腸と回腸に亜鈴状の粘膜下腫瘍の多発を認めたため小腸部分切除術を施行し,同腫瘍からの出血であることが確認された.この他にも小腸に小さな粘膜下腫瘍が多発していたため,これらを可及的に局所切除した.切除標本の病理検査より,小腸の腫瘍は大小を問わずすべてKIT receptor陽性,vimentin陽性,CD34陽性,actin陰性,desmin陰性,S-100陰性,NSE陰性で狭義のGISTのみであり,比較的サイズの大きいもののみlow grade malignancyと診断された.