著者
野間 研一 村川 和重 石本 栄作 石田 克浩 石田 博厚 和泉 良平
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.236-240, 1991-03-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
4

Ramsay Hunt症候群は,顔面神経麻痺,内耳神経症状,外耳道,耳介周辺部の疱疹を三兆候としているが,帯状疱疹と顔面神経麻痺出現の時期についての詳細な報告は見当たらない.我々は,ウイルス性髄膜炎を併発した,三叉神経第2枝帯状疱疹例に対し,早期より抗ウイルス剤の投与および神経ブロック療法を施行し,順調に経過していたにもかかわらず,発症3週間後に遅発性顔面神経麻痺を生じた症例を経験した.顔面神経麻痺出現時には,すでに皮疹および疼痛はほぼ消失しており,VZV感染と顔面神経麻痺の因果関係は明確にできなかった.また,従来は,Ramsay Hunt症候群の治療として抗ウイルス剤の投与や星状神経節ブロックが施行されているが,今回の症例では,顔面神経麻痺出現前より,これらの治療を行なっていたが,その出現を防止できなかった.
著者
福島 亘 八木 雅夫 坂本 浩也 伊井 徹 清水 康一 米村 豊 泉 良平 三輪 晃一 宮崎 逸夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.2185-2188, 1993-08-01
被引用文献数
7

症例は64歳の男性で, 昭和56年8月に胸部中下部食道癌 (A_0 N_0 M_0 Pl_0, Stage I) にて右開胸開腹胸腹部食道全摘術および胸骨後経路頸部食道形成胃管吻合術を受けた. 切除標本の病理組織診断は低分化型扁平上皮癌, 深達度 ep, n(-) であった. 術後10年目に嘔気と嘔吐を認めたため内視鏡検査を施行したところ, 門歯列より 26cm の再建胃管内に径 2.0cm の山田 III 型ポリープを認めた. 生検結果は中分化型腺癌であった. 超音波内視鏡検査で深達度 m と診断されたため, 内視鏡的ポリペクトミーを施行した. 切除ポリープは病理組織学的に乳頭状腺癌, 深達度 m で断端における癌の浸潤も認めなかったため治癒切除と診断された. 食道早期癌術後の再建胃管に発生した早期胃癌の本邦報告例は, これまでに自験例を含め3例のみときわめてまれであったが, 再建胃管癌46例の本邦報告例の検討からは, 早期発見のため術後の再建胃管の定期的な検索が必要であると思われた.