著者
西村 元一 二宮 致 橋本 之方 鎌田 徹 米村 豊
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.951-955, 1993-04-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
15

メネトリエ病の報告例は増加しているが,まだ治療法および癌との関連性に関しては一定の見解が得られていない.われわれは保存的治療で効果が得られず,胃全摘術を施行したメネトリエ病の1例を経験したので,増殖帯の検討も含めて報告した. 症例は34歳男性.低蛋白血症を合併したメネトリエ病の診断で抗プラスミン剤,H2-プロッカーを投与したが無効であったため,胃全摘術を施行した.術後経過は良好で低蛋白血症は認めていない.また切除標本では増殖帯を検討したところ,増殖帯の拡大は認められたが,増殖細胞の密度や分布の異常は認められなかった. 今後,さらに癌化の可能性を探索することが治療法を選択する上での課題と思われた.
著者
福島 亘 八木 雅夫 坂本 浩也 伊井 徹 清水 康一 米村 豊 泉 良平 三輪 晃一 宮崎 逸夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.2185-2188, 1993-08-01
被引用文献数
7

症例は64歳の男性で, 昭和56年8月に胸部中下部食道癌 (A_0 N_0 M_0 Pl_0, Stage I) にて右開胸開腹胸腹部食道全摘術および胸骨後経路頸部食道形成胃管吻合術を受けた. 切除標本の病理組織診断は低分化型扁平上皮癌, 深達度 ep, n(-) であった. 術後10年目に嘔気と嘔吐を認めたため内視鏡検査を施行したところ, 門歯列より 26cm の再建胃管内に径 2.0cm の山田 III 型ポリープを認めた. 生検結果は中分化型腺癌であった. 超音波内視鏡検査で深達度 m と診断されたため, 内視鏡的ポリペクトミーを施行した. 切除ポリープは病理組織学的に乳頭状腺癌, 深達度 m で断端における癌の浸潤も認めなかったため治癒切除と診断された. 食道早期癌術後の再建胃管に発生した早期胃癌の本邦報告例は, これまでに自験例を含め3例のみときわめてまれであったが, 再建胃管癌46例の本邦報告例の検討からは, 早期発見のため術後の再建胃管の定期的な検索が必要であると思われた.