- 著者
-
中村 倫太郎
二瓶 俊一
松本 泰幸
伊佐 泰樹
長田 圭司
原山 信也
相原 啓二
蒲地 正幸
- 出版者
- 日本蘇生学会
- 雑誌
- 蘇生 (ISSN:02884348)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.1, pp.20-23, 2020-04-01 (Released:2020-04-13)
- 参考文献数
- 15
当初軽症と判断したが,症状が遷延し治療に難渋した脂溶性有機リン中毒症例を経験した。症例は30代女性。脂溶性有機リンを内服し救急搬送された。来院時コリンエステラーゼ(ChE)は低値だが,症状から軽症と判断された。対症療法のみで経過を診たが第3病日に流涎,呼吸困難感が出現し気管挿管施行。第4病日に症状改善し抜管するも,第6病日に症状が再燃し再挿管施行。第9病日再抜管。第12病日に頻呼吸・呼吸困難感が出現し再々挿管。この時点までChE値低値持続していたが,徐々にChE値が改善。第20病日抜管し,その後状態が安定した。本症例の経験から,脂溶性有機リン中毒症例では,ChE低値が持続する症例の人工呼吸器離脱は慎重に行うべきである。