著者
伊澤 華子 青柳 康夫
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.348-353, 2012-07-15 (Released:2012-09-04)
参考文献数
20
被引用文献数
1 8

植物性食品80種類について,ACE阻害とニコチアナミン量の測定を同時に行い,植物性食品の血圧抑制について検討した.ACE阻害は,イネ科の植物を除く多くの試料で60%以上の強いACE阻害が示された.ニコチアナミン量は,タラノメで74.8mg/乾物100gと最も多く,イネ科を除く多くの試料でニコチアナミンが検出された.科間の比較ではウコギ科はイネ科とユリ科の植物と比較してニコチアナミン量が有意に多いことが示された.アスパラガス,ウルイのように強いACE阻害を示すが,ニコチアナミンを含有していないものも存在していた.しかし,多くの植物性食品のACE阻害の強さにニコチアナミン量が少なからず影響していることが示された.
著者
伊澤 華子 吉田 望 白貝 紀江 青柳 康夫
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.253-257, 2008-05-15 (Released:2008-06-30)
参考文献数
16
被引用文献数
9 11

豆類41種類の熱水抽出液のACE阻害をスクリーニングしたところ,ナタマメを除きいずれも強いACE阻害を示した.IC50値の比較ではササゲ属が他の属に比較して阻害力が弱い傾向が見られた.豆類のニコチアナミン量は,絹さや(生)で77.0mg/乾物100gと最も多く,インゲン属,ダイズ属,エンドウ属などでは,ほとんどが30~55mg/乾物100gと豊富に含まれていた.属間の比較では,ササゲ属はエンドウ属(p<0.05),インゲン属,ダイズ属(p<0.001)と比較して有意にニコチアナミン量が少ないことが示された.豆類抽出物のACEに対するIC50値はニコチアナミン量と相関があることが示された.また,そのときの抽出物中ニコチアナミンの存在量は,ニコチアナミン標品のIC50値と一致していた.このため,豆類熱水抽出物のACE阻害は,ほぼニコチアナミン単独で発現しているものと推測された.
著者
伊澤 華子 青柳 康夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.459-465, 2006-09-15
被引用文献数
6 12 9

キノコに含まれるACE阻害物質について,野生,栽培種,市販品の食用キノコ計23種を調査した.熱水抽出物のACE阻害活性を調べた結果,シメジモドキ,スミゾメシメジ,ホウキタケ,コウタケなどのキノコに強い阻害活性が認められた.各キノコの抽出固形物のIC<SUB>50</SUB>は,ヌメリスギタケ(野生種,栽培品),コウタケ,ホウキタケ,スミゾメシメジの順で強いことが示された.透析膜による分画では,キノコの種類によりACE阻害を示す物質に特徴があることが示された.<BR>シメジモドキの70%エタノール抽出画分を種々のクロマトグラフィーによる分画を行った結果,ACE阻害物質が単離され,ニコチアナミンであると同定された.シメジモドキに含まれるニコチアナミン量は13.2mg/dry 100gであった.<BR>また,他の23種のキノコについて,ニコチアナミンの有無を調査した結果,ホウキタケに28.7mg/dry 100g含まれていた.イッポンシメジ科ではシメジモドキ以外には含有が認められなかったが,ホウキタケ科では他の種にも存在が認められた.